日本シリーズ進出を決め、喜ぶソフトバンクの選手たち=山本壮一郎撮影

　（18日、プロ野球クライマックスシリーズ最終ステージ 福岡ソフトバンクホークス3―2北海道日本ハムファイターズ） 【写真】世代交代の中で、揺れる思い　ソフトバンク中村晃の心境の変化とは 　一塁ベースを回ったところでソフトバンクの周東佑京は何度も両手をたたいた。喜ぶ一塁ベンチへ向け、右手でガッツポーズを繰り出した。 　同点で迎えた四回2死一、三塁。「絶対にこのチャンスを生かそうと思った」。1ボールからの2球目。真ん中高めのシュートを左前に運び、勝ち越し点をもたらした。 　どう打線をつなげていくのか。そんな意識を各自が共有している。一回無死一塁で柳田悠岐は一ゴロに倒れたが、全力疾走で併殺を逃れた。これが生きた。2死後に山川穂高、近藤健介の連続適時二塁打で2点を先取した。 　村上隆行打撃コーチは「全員が流れを意識して、自分のできる範囲で精いっぱいやっている」と話す。四回の勝ち越しも、無死一塁から今宮の送りバントなどでつないだ結果だ。 　CS最終S前日、小久保裕紀監督は選手たちに言った。「何かプラスになる決めごとを見つけよう。普通じゃない状態を自分で意識してつくることが大事だ」。打たれたら、ミスをしたら……。短期決戦で不安に駆られるのは「普通」のこと。プラス思考でそれぞれの役割を果たそうと訴えた。 　初戦は11安打で5得点、2戦目は11安打で7得点。そして、この日も打線がつながった。先発も有原航平、モイネロ、スチュワートが白星をつかんだ。3連勝でCSを突破した。 　小久保監督は「選手たちが個々の役割を果たしてくれた。（日本シリーズも）自分たちの野球をするのが一番。いい準備をしたい」。4年ぶりの日本一奪還へ、まずは挑戦権をつかんだ。（鷹見正之） ■王会長「強いって感じを与えた」 　王貞治会長（ソ）　「打つ方は少ないチャンスをものにし、抑える方もここというときに抑えてくれた。投打に隙を見せなかった。シーズン中も強かったけど、強いっていう感じを相手にも与えたし、ファンの皆さんにも感じてもらえた戦いができたんじゃないかな」 　孫正義オーナー（ソ）　「頼もしい限りでした。（MVPの山川は）4番バッターの役割を見事に果たしたと思います」 ■新庄監督「成長度は12球団一」 　3連敗。「下克上」で日本シリーズ進出を目指した日本ハムの新庄監督は、深いため息をついた。「シナリオ通りにはいかない。ソフトバンクとは経験の差があった」。2年連続の最下位から今季は2位に躍進した。「選手はよくやった。成長度は12球団一でしょう」と胸を張った。自身の去就については24日のドラフト会議の後に明らかにするという。 　清宮（日）　四回の守りで自身の失策が相手の決勝点につながる。「申し訳ない。自分の力のなさを感じた。やり返すために自分を鍛え直さないと」