「いつも検討ばかりのダメ管理職」と「即決できる管理職」。その差は何で生まれる?
「組織のモヤモヤを全て言語化してくれる本」「会社員人生が180度、変わった」 そんな感想が届いているのが、安藤広大氏の著書『リーダーの仮面』『数値化の鬼』『とにかく仕組み化』シリーズ三部作だ。これまで4400社以上の導入実績があるマネジメント法「識学」をもとに、ビジネスの現場で「一生活躍し続けられる」メソッドや思考法を授ける本シリーズは、さまざまな業界から圧倒的な支持を集めている。 今回は、全ビジネスパーソンに必須の「意思決定」のあり方を指南する、シリーズ最新刊『パーフェクトな意思決定 「決める瞬間」の思考法』の中から、特別に本書のエッセンスを解説する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健) ● 意思決定の「3つの箱」 あなたは、即決できるほうですか。それとも、いつまでも「検討」し続けるほうですか。 優秀かどうかは、ここの決断に差がつきます。 では、どのように意思決定をすればいいかを見ていきましょう。 決めないといけないことには、「大きさ」があります。 素早く決めることが大前提ですが、そうではない事柄もあるでしょう。 そのための「3つの箱」を用意しました。 それが、次の3つです。 1「即決」という箱 2「情報不足」という箱 3「期限を設定する」という箱 できれば、「1 即決」という箱に入れて、早く完了させる。 ただ、そうではない場合もあります。 決めるための「情報」が足りていないときがある。それが、「2 情報不足」という箱です。 また、「時間」が必要な場合もあるでしょう。その場合は、「3 期限を設定する」という箱に入れます。 自分が判断しないといけないとき、この3つに振り分けるようにします。 順番に説明していきましょう。 ● 1「即決」という箱に入れるとき すでに十分な情報があるとき、その場で決めることをします。 それは、選択肢が明確にあるようなときです。 例として、社用車を利用するときにクレームがあったとします。 「車を使いたいときに使うことができない。事前に紙に記入しているのに、勝手に使われてしまっている」 そんな問題があったとしましょう。 紙による管理は、実際にそこに行って直接書く必要があります。 そこで、スプレッドシートで管理して、PCやスマホでどこからでも記入できるようにしようと思いました。 この程度のことであれば、意思決定者はすぐに決めるべきでしょう。 明らかに問題が発生していて、その解決法がある。 ただ、これくらいの問題でも、「全員の理解を得ないといけない」と思い込んでしまい、全員にヒアリングするような人がいます。 それをやってしまうと、 「これまで紙でやってきたから、そのままでいい」 「スプレッドシートの使い方がわからない」 などの意見に左右されてしまうのです。 情報が揃っている場合は、意思を持って「変更します」と、決定するようにします。 そして、全員が実行できるように周知することです。 最初はできていない人もいるでしょう。それは徹底して管理するしかないのです。 ● 2「情報不足」という箱に入れるとき 次に、「情報が不十分だ」と思うときです。 先ほどの「紙をスプレッドシートに」と比べると、意思決定の難易度が高めの問題に取り組むときです。 その場合は、必要な情報を特定して、部下にあげさせるといいでしょう。 たとえば、社内でオンラインサロンを立ち上げるかどうかを意思決定するとしましょう。 そのような新規プロジェクトは、未経験のメンバーで構成されることがほとんどです。 そこでやることは、 「他社のオンラインサロンの調査レポートを出させる」 などによって、判断材料を集めることです。 メンバーにタスクを与え、期限を決めて、プレゼンをさせます。 その情報を受けて、「やるかどうか」を決めるのです。もしやる場合も、どういうコンセプトで運営するかの判断がしやすくなりますね。 責任のある人が一人で情報をとるのではなく、チームで取り組むのがポイントです。 そうすることで意思決定のスピードが上がります。 ● 3「期限を設定する」という箱に入れるとき 3つ目は、決めるための情報として「時間」が必要な場合です。 先ほども、メンバーに期限を設けることについて触れましたが、さらに長いスパンで判断したいときです。 ある程度、ビジネスを実行してみて、「もう少し経過が見たい」というケースですね。 先ほどのオンラインサロンを、そのまま続けていくかどうか。 あるいは、無料から有料に切り替えるかどうか。 そういう意思決定のためには、ある程度の「時間軸」が必要です。 「年間目標を1万人に設定して、最初の1ヵ月でどの程度増えるか」 「テスト版として有料コンテンツを出すことで、1週間で何人が購入するのか」 など、期限を定めて検討する材料を集めます。 なんとなくはじめて、なんとなく決めるのではありません。 ちゃんと、 「1週間後に決める」 「1ヶ月後に決める」 という期限を最初に設定することが大事です。 ● 「即断即決が正解」ではない 以上のように、「1」~「3」の箱に問題や課題を入れておくようにしましょう。 そして、箱に入れないのは、個人や組織が止まっている状態であることを自覚します。 早く成功か失敗に近づかないといけない。 止まっていることは悪なのです。 ベストは「1」です。 ただし、必ずしも、「即断即決がいい」ということではありません。 「早ければ早いほどいい」と言ってしまうと、無謀なことをやることを勧めているように聞こえてしまうでしょう。 もちろん、やみくもに「やる・やらない」を即決してはいけません。 それは意思決定ではなく、ただの反応です。 検討したいときは、「2」や「3」の箱に入れることです。 「2」に入れることで、部下やメンバーは次に何をすべきかがわかり、行動ができます。 「3」に入れることで、期限が示され、それ以外の業務に集中できます。 つまり、どちらにせよ、前に進めているのです。 それにより、目の前のことに集中できるようになります。 そもそも期限が設定されていないものは、「仕事になりえない」ということも言えますね。 (本稿は、『パーフェクトな意思決定』の著者・安藤広大氏が特別に書き下ろしたものです) 安藤広大(あんどう・こうだい) 株式会社識学 代表取締役社長 1979年、大阪府生まれ。2002年、早稲田大学を卒業後、NTTドコモ、ジェイコムホールディングス、ジェイコム取締役営業副本部長を経験。プレイングマネジャーとして「成長しないチームの問題」に直面し悩んでいたときに「識学」に出合い、2013年に独立。多くの企業の業績アップに貢献した。2015年、株式会社識学を設立。わずか4年足らずで上場を果たし、これまで9年間で約4400社に識学メソッドが導入されている。著書にシリーズ累計160万部を突破した『リーダーの仮面』『数値化の鬼』『とにかく仕組み化』(ダイヤモンド社)がある。『パーフェクトな意思決定』はシリーズ最新刊。
安藤広大