民進党発足で「民主」票が無効に? 現存しない政党名はどう扱われるか
7月10日に投開票される参議院選挙。選挙年齢を18歳以上に引き下げてから初めて実施される国政選挙となります。そんな注目の選挙で、気が気でないのが民進党関係者かもしれません。今年3月に民主党と維新の党が合流し、「民進党」が発足しましたが、実は「民主党」や「民主」票の扱いが不透明な状況なのです。もし、現存しない「民主党」や「民主」と書かれた投票用紙があった場合、その票はどのように判断されるのでしょうか? 【図解】正しく投票しないと大切な一票が無効になる?
過去には「社会」票が無効になった例も
民進党関係者が懸念するのは、旧自治省が判断した「社会党」が「社民党」に党名変更した後の1996年衆院選の結果です。この選挙では、「社会」票が無効になりました。無効と判断された場合は、もちろん得票につながりません。さらに「民主党」票などが「自由民主党(自民党)」や「社会民主党(社民党)」にカウントされる可能性があるのです。 参議院の比例代表選挙では、有権者が「候補者名」か「政党名」のどちらかを書いて投票します。当選人数は、政党の総得票数(政党名と所属する候補者個人の票)に基づき、ドント方式によって各政党に配分されます。得票するには、正しく政党名を記入してもらうことが重要なのです。
「有効」「無効」は誰が判断するの?
公職選挙法61条では、「各選挙ごとに、開票管理者を置く」と規定し、同法67条で「投票の効力は、開票立会人の意見を聴き、開票管理者が決定しなければならない」と定めています。つまり各市町村の選挙管理委員会(選管)に選ばれた開票管理者が、「民主党」などと記載された票の効力を判断することになるのです。 元自治省選挙部長で早稲田大学の片木淳教授は「開票管理者が決定するので、個々の記載内容と地域の実情によって、判断がまちまちになるかもしれません。混乱を避けるため、総務省が通知のようなものを出して、一応の統一見解を示すべきでしょう」との見方を示します。 一例として、現在の選挙制度ができたときの自治省(現総務省)選挙部長からの通達があります。自治省は1983年に「参議院比例代表選出議員の選挙における投票の効力について」との選挙部長通知を各選管に送り、政党名の紛らわしいケースについて、参考として一定のガイドラインを示しました。その中で、「社会的に当該名簿届出政党等の呼称として広く認識されている」、そして「名称又は略称の主要部分又は特徴的な部分が記載されており、識別な可能なもの」は、その政党の得票として有効としているのです。