インド航空市場の覇権を失った「ジェットエアウェイズ」 かつての国内シェア1位が辿った破綻劇の裏側とは?
市場は世界最大級規模
人口大国のインドは、経済成長が著しく、航空業界もその影響を受けている。IATAの予測によれば、2030年までに中国と米国を抜いて最大の航空旅客市場になる見込みだ。 しかし、かつて社会主義国家を目指していたインドでは、企業への規制が依然として厳しい。例えば、航空会社が国際線に進出するためには、 ・5年以上の就航期間 ・20機以上の機材 が必要で、燃料費の税金も州ごとに異なり、地域によっては世界一高い場合もある。このような厳しい規制が、キングフィッシャー航空やジェットエアウェイズなど、かつては市場のトップシェアを誇った企業を倒産に追い込んだ。 現在、インドを拠点とする長距離国際線は、中東や東南アジアのエアラインに比べ、ハブアンドスポークシステムや高水準のサービスという強みを持つため、競争が難しい。国内市場は成長しているが、海外発着の需要を取りにくく、これが成長の阻害要因となっている。しかし、大型倒産が相次いだことで、ケーススタディーが豊富に存在するのはひとつのプラス要因といえるだろう。 果たして、世界最大級の航空市場を持つインドから、グローバルで競争力のある航空会社が誕生するのだろうか。今後の展開が注目される市場のひとつだ。
前林広樹(乗り物ライター)