アウディ新型「A5」シリーズを発表! 従来のA4の後継を担うセダンとアバントを設定
アウディこのほど、新型「A5」ファミリーを発表した。初代A4の発売から30年、最新世代のシャープなデザイン言語による、プレミアムなプロポーションを実現。セダンとアバントの両ボディスタイルは、アウディデザインの哲学であるスポーティな本質を完璧に体現している。部分的に電動化された内燃エンジンは効率的で、刺激的なSモデルがラインアップを完成させる。駐車時など部分的にEV走行を可能にした新しい48Vマイルドハイブリッドシステム「MHEV Plus」を採用 アウディではモデルレンジの拡大に伴い、2024年よりモデルネームを再構築している。電動モデルと内燃エンジンモデルを名称の数字によって区別しており、今後、偶数は電動モデルを、奇数は内燃エンジン搭載モデルを表す。最新世代のデビューにより、長年のベストセラーであるA4はA5へと名前を変え、ドイツ・ネッカーズルム工場で生産される。新型A5シリーズは、A5セダン、A5アバント、そして高性能版のS5セダン、S5アバントの4つの新しいバリエーションで提供。これらは新しいプラットフォーム「PPC(プレミアムプラットフォームコンバッション)」を採用する初めてのモデルとなる。 アウディAGのゲルノート・デルナーCEOは、新しいモデルファミリーについてこのように述べている。 「全電動ポートフォリオの拡大と並行して、効率的な内燃エンジンを搭載した新世代のモデルを導入します。アウディA5ファミリーは、そのアスレチックなデザイン、全く新しいインテリア、そして将来性のある電子アーキテクチャーを備えた最初のモデルとなります。高度なMHEV plusテクノロジーにより、部分的な電動走行が可能となり、さらに効率的な運転が実現します」 ボディの全長と全幅が拡大された新型A5は、アッパーミッドサイズセグメントに位置付けられる。完全に再設計されたA5ファミリーは、力強く洗練されたデザインを持っている。長いホイールベース、大きなホイール、低くスポーティなスタイルは、進化したダイナミズムとプレミアムな基準を体現。セダンでは、スポーティでコンパクトに見えるグリーンハウス(サイドウインドウ部)が後部に向かって大きく弧を描き、クーペのように浅いリヤウィンドウにシームレスに流れ込み、視覚的に短いテールゲートに際立つスポイラーリップまで続く。 新しいリヤハッチゲートは、デザインと機能性をしっかりと共存させている。リヤウィンドウとともに開き、開口部は十分なスペースが取られラゲッジルームへ容易にアクセスできる。これがアウディの全く新しいセダンのコンセプトだ。 一方、ステーションワゴンボディのアバントは、ダイナミックで引き締まったルーフラインがシームレスに統合されたルーフスポイラーに融合し、スポーティでフラットなリヤウィンドウを覆う。鋭く傾斜するDピラーは、A5アバントのダイナミックなサイドビューを強調する。 フロント部分は、幅広でこれまでになくフラットなプロポーションのシングルフレームと、立体的なハニカム構造が特徴。細く精密に描かれたヘッドライトと相まって、印象的で鋭い表情を与えている。バンパーに統合された「ソフトノーズ」は、ボンネットとフロントエンドを一体化させている。前後ホイールのショルダー部分から力強く突き出たブリスターは、Ur-quattro(ウア クワトロ:初代quattro)を彷彿させる、アウディデザインDNAの重要な要素だ。 リヤビューは、スポーティでエモーショナルなデザインと知的なテクノロジーを融合させている。彫刻的なデザインと立体的に配置された連続したライトストリップが組み合わさることで、存在感と視覚的なダイナミズムを放つ。ベースモデルでは、ダークディフューザーを備えたクリアでモダンなデザインのバンパーと、高品質の長方形のエキゾーストフィニッシャーが特徴となる。 新型A5のインテリアデザインには4つの特徴がある。まずインテリアにはヒューマン セントリック デザイン(人間中心のデザイン)が採用されており、ユーザーのニーズを一貫して配慮した設計になっている。第2の特徴はデジタルステージで、Audi MMIディスプレイがドライバーと助手席から鮮明に見えるように配置されている。第3の特徴はマテリアル ドリブン デザイン(素材に基づくデザイン)で、広々とした空間感覚と高い快適性を実現。そして第4の特徴は視覚的な明快さ だ。インテリアのレイアウトがクリアで操作が簡単であり、どんな状況でも全体を把握しやすい設計になっているのだ。加えて、オプションで「ダイナミックインタラクションライト」があり、A5と乗員とのインタラクション(対話)をサポートする。 新型A5ファミリーの新しい操作コンセプトは、E3 電子アーキテクチャーにより、車両とのインタラクションを向上させる。顧客のデジタルエコシステムにシームレスに統合され、パーソナルなコネクティビティ体験を提供する。スリムで独立したAudi MMIパノラマディスプレイは、曲線的なデザインでOLED技術を使用。これは11.9インチ表示スクリーンのアウディバーチャルコックピットと、14.5インチのMMIタッチディスプレイで構成されている。 さらに助手席のデジタルステージを補完するために、アウディはダッシュボードデザインに完璧に統合された10.9インチMMI助手席ディスプレイをオプションで設定。新しいA5は、先代モデルと比較してさらに進化した、設定可能なヘッドアップディスプレイを備えている。ドライバーがヘッドアップディスプレイを介して、車両およびインフォテインメント機能を制御することができるオプションが初めて備わった。 パワートレインに先進ハイブリッドシステム「MHEV plus」を採用したのもニュースだ。48Vのオンボードエレクトリカルシステムに基づく新しいMHEV plusシステムは、内燃エンジンをサポートし、CO2排出量を削減しながら性能を向上させる。パワートレインジェネレーター(PTG)は、部分的な電動走行を可能にするとともに、燃費削減にも寄与。ディーゼル仕様の「2.0 TDI(204ps、FF/4WD)」では最大10g/kmまたは0.38 l/100 kmの削減、そしてガソリン仕様の「V6 3.0 TFSI(367ps、4WD)」では最大17 g/kmまたは0.74 l/100 kmの削減が可能だ(いずれもWLTPモード)。 PTGはさらに、内燃エンジンの出力に最大18kW(24 ps)の電力を追加することもできる。減速時にはPTGが最大25 kW(34ps)のエネルギーを回生。その結果、純粋な電動での運転や駐車が限定的に可能になる。電動エアコンプレッサーの使用状況下では、信号待ちで車両が停止し、内燃エンジンがオフの状態でも、空調システムを作動することができる。 統合型ブレーキ制御システム(iBRS)は、ブレーキペダルとブレーキの油圧システムを完全に切り離す。MHEV plusシステムが搭載されたモデルでは、回生ブレーキのみで減速させることが可能で、摩擦ブレーキを使用する必要なく、初期の減速は回生ブレーキでのみ行われる。ブレーキペダルをさらに踏み込むと摩擦ブレーキが作動する、ブレーキの感触は変わらない。 ガソリン仕様の「2.0 TFSI(150psまたは204ps)」は、エンジンに可変タービンジオメトリー(VTG)付きのターボチャージャーを装備し、部分負荷で極めて燃費効率の良い改良型燃焼プロセスを採用。VTG技術により、ガソリンエンジンでも低回転域で、トルクの一貫した俊敏な立ち上がりが可能だ。トランスミッションはDCTを組み合わせる。150ps仕様はFFモデルとして、204ps仕様はFFまたは四輪駆動の「quattro ultra」を選択できる。 一方、ディーゼル仕様の「2.0 TDI(204ps)」は、MHEV plusテクノロジーにより新型A5に新しい基準を設定する。EA288 evo世代のこの2.0Lエンジンは、シリンダープレッシャーセンサー、排気ガス制御システムTwinDosing(ツインドージング)、およびスムーズなエンジン回転を可能にする2本のバランスシャフトという、先代モデルから最適化された燃焼技術を継承。1750~3250 rpmの間に400 Nmのトルクを発揮する。2.0 TDIもDCTと組み合わされ、前輪駆動、またはquattro ultraを選択できる。このエンジンも新しい48VのMHEV plusシステムを使用して、部分的に電動化されている。電動ドライブトレインコンポーネントは、高い回生能力によりCO2排出量を削減。さらにTDIの快適性は、スムーズなエンジン始動をかなえる48Vスタータージェネレーターによってさらに向上する。発進時のレスポンスに優れ、目覚ましい俊敏性を発揮する。 高性能版の「S5」には、270 kW(367 ps)を発揮する3.0LのV6 TFSIエンジンを搭載。初めて可変タービンジオメトリー(VTG)付きターボチャージャーとMHEV plusテクノロジーが備わる。S5のアップデートされたDCT(Sトロニック)は、より高いトルクに対応できるように設計されており、フロントアクスルの重量を減らし、軽快感を高める。新しい48VのMHEV plusシステムによる部分的な電動化は、電動ドライブコンポーネントと高い回生性能によるCO2排出量の削減をもたらす。先代のS4 TDIと比較して、新型S5 TFSIは、最大14g/kmのCO2排出量を削減。 一方で、その素早いダイナミックなトルクの立ち上がりは、S5のスポーティさを際立たせる。トルクベクタリングを備えたquattroスポーツディファレンシャルの標準装備と、調整可能な全輪駆動クラッチとの組み合わせにより、横方向のダイナミクスが最高レベルに調整されている。 このほか、技術的なトピックとして新型A5ファミリーには、フロントにLED技術を用いたデジタルデイタイムランニングライトを、リヤに第2世代のデジタルOLEDリヤライトを装着していることが挙げられる。各デジタルOLEDパネルに約60のセグメントがあり、リヤのディスプレイの役割を高めています。そのため車両間通信(car-to-x communication)も可能になり、新しいコミュニケーションライト等によって道路上の安全性向上に貢献する。車両のロック解除時や退出時のダイナミックな照明効果は、アウディライトDNAの一部として動きの美学を反映している。アクティブデジタルライトシグネチャーも同様に、新しい生き生きとした感覚を伝える。ヘッドライトとリヤライトは3次元にデザインされ、オプションでデジタルライトシグネチャーを提供し、物理的な世界とデジタルの世界を融合させる。 アウディは、この新しいA5ファミリーでミッドサイズセグメントにおける成功の歴史の次章を開く。新型A5およびS5は、11月にドイツおよびその他多数のヨーロッパ諸国で発売され、ドイツでは7月から注文可能になる。
MotorFan編集部