技巧派で白星デビューした日ハム・有原に噴出した賛否
4球団競合の末、ドラフト1位で早大から日ハムに入団した注目のルーキー、有原航平(22)が15日、札幌ドームで行われた対オリックスにプロ初先発、6回を投げて、カラバイヨに許した被本塁打を含む4安打2失点の内容で降板を命じられたが、幸運にも、6回裏にレアードの2ランなどで逆転。1点を松元、鍵谷、宮西からストッパーの増井が回跨ぎの出動で守りきり、有原は幸運な形でプロ初先発初勝利を手にした。だが、ちょうど100球で終わった球数のうち、ストレートは半分に満たない43球。ストレートの最速は151キロを記録したが、変化球主体の本格派には、程遠い投球内容に対して賛否が噴出している。
有原は、セットポジションから、その第1球を投じた。 糸井へ147キロのストレート。フルカウントからフォークをファウルにされると、またフォークを続けてショートゴロに抑えた。続く西野の4球目のストレートは151キロを表示した。だが、西野を歩かせると、中島にライト線に落とされ、一、三塁から4番のカラバイヨに1ボール-2ストライクとカウントを追い込んで外角のスライダーを一、二塁間にうまく運ばれた。「すごく緊張した」という立ち上がりに、いきなり失点したが、あわてず傷口を広げさせない。T-岡田を147キロのストレートで左飛、ブランコは、ツーシームでショートライナー。後続を断った。 「野手の方が声をかけてくださって気持ちが落ち着いて、(2回から)いいピッチングができました」 2回からは、多彩な変化球を軸に、まるでベテランの域のピッチングである。山崎勝に2球続けてフォークが抜けてデッドボール。「いい加減にしろ!」と、怒鳴られたが、動揺はない。駿太にショートへ内野安打を許したが、5回まで芯で捉えられた打球は、1本もなかった。5回には一死から糸井を裏をかいたストレートでスイングアウト、西野も147キロのストレートをインサイドにズバっと決めて、微動ださせなかった。 スライダー、カット、カーブ、チェンジアップ、フォーク、シュートと、どの変化球もカウント球に使え、勝負球にも使える。キャッチャーのサインに首をふっての投球は、ほとんどが変化球。それほど変化球のコントロールに自信が有る証だろう。6回に一死から、甘く入ったスライダーをカラバイヨにレフトスタンドへ弾き返され、「ひとつ間違えば」のプロの怖さを教えられ、0-2とされたが、6回2失点は、立派なクオリティスタートである。 6回を投げ終えた有原はベンチで厚沢投手コーチから降板を告げられた。その直後に東明に無失点に抑えられていたチームは一死から中田、ハーミッダの連続二塁打で1点を返して、なお二塁に走者を残した場面で、レアードが逆転2ラン。幸運にも、一転、勝ち投手の権利を手にした。スーパールーキーに白星をプレゼントしようとチームも必死の継投。 「今日は勝たせてもらった試合」と有原は語ったが、そういう運もプロには必要なものだ。 クイックモーションは1秒15を記録。「1秒20以内の投手は走れない」とされているので、かなり高いレベルだ。自滅するような不安を、まったく感じさせない、ルーキーとは思えぬ完成度の高さだが、力でねじ伏せるのではなく、変化球主体の技巧派ピッチングに拍子抜けした関係者は少なくない。 「まるでおっさん」と表現した評論家もいた。早大時代の有原をチェックしていた元ヤクルトの敏腕スカウト、片岡宏之氏も失望した一人。