ボルボの渾身の新型EV、EX30に乗ってみました! 見た目からも走りからもボルボの本気が伝わってくる!!
EVで登場したいちばんコンパクトなボルボ!
2030年、市販車のすべてを電気自動車にするというボルボ。専用プラットフォームを持つ本格BEVの第1弾が上陸した。ボルボ史上最も小さなSUVは環境だけでなく商品としてもすぐれていた。エンジン編集部の荒井がリポートする。 【写真22枚】完成の域にあるボルボのスカンジナビアンデザイン EX30の詳細画像で内装、外装をチェックする ◆専用のプラットフォーム エンジンの長期リポート車、ボルボXC40リチャージで試乗会場の基地であるボルボの青山ショールームへ向かう。ボルボの新しい電気自動車、EX30の試乗会が開かれたのだ。 毎日通勤で使っているXC40リチャージも電気自動車だが、プラットフォームはガソリン・モデルと共通である。一方、このたび上陸したEX30は専用のプラットフォームを持つ。 ボルボは2030年にすべての市販車を電気自動車にするという大きな目標があり、EX30はそれを実現するためのボルボ乾坤一擲のニューモデルなのである。 ボルボが電気自動車に特化するのは、もちろん環境問題に対応するためだ。ボルボは鉄、アルミニウム、プラスチック素材のリサイクル率を上げていき、2040年には完全な循環型ビジネスの実現を目指している。EX30のリサイクル素材率はアルミニウムが25%、鉄が17%、プラスチックが17%で、ボルボ史上最もカーボン・フットプリント(商品の材料調達、製造、流通、消費、廃棄までにおける温室効果ガスの排出量)が少ないクルマだという。 怒れる環境活動家、グレタ・トゥンベリさんの母国、スウェーデンのブランドだけあってボルボは本気で環境問題に向き合っている。 とはいえ、われわれは消費者なのでそんな蘊蓄よりも商品として魅力があるかどうかのほうが大事だ。 ◆外観にひとめぼれ 早速、EX30を見ていこう。まず、デザイン。これはもう素晴らしいというしかない。XC40よりひと回り小さいけれど、明らかに商品としての魅力で勝っていると思った。スカンジナビアン・デザインというのは簡単だけれど、とても上品でよくまとまっている。特にリアまわりのデザインは喝采ものである。 内装はサステナビリティの精神に貫かれている。ダッシュボード・パネルは粉砕した廃プラスチックを用い、シートには再生素材が使われているそうだ。なんと、フロアマットは廃棄された漁網が材料だという。 電気ハーネスの取り回しまで簡素化され、ドアにはスピーカーがない。それどころかステアリング・ホイールの前にはスピード・メーターがない! ダッシュボード中央の液晶画面上部に表示するという。乗り込んでもボルボの本気度が伝わってくる。 ◆運転しやすい シングル・モーター後輪駆動というのは毎日乗っているXC40リチャージと同じだ。走り出してすぐに思ったのがアクセル操作に対する反応がXC40リチャージより細やかなこと。XC40リチャージは右足の力加減に対して動きが荒っぽいところがあるのだが、EX30はとてもナチュラルで運転しやすい。 これはワンペダル・モードの設定がアップデートされたことも大きいようだ。EX30はアクセル・オフしたときの回生ブレーキが、ガソリン車のエンジン・ブレーキのように自然なのだ。街中での走りがギクシャクしないのは嬉しい。 ボディがコンパクトなことに加え、車両感覚がつかみやすい四角いデザインなので、都内一般道での運転はXC40リチャージよりラクだ。 首都高速に入り、フル加速を試みる。速い! EX30のモーターは最高出力272ps/6500~8000rpm、最大トルク343Nm/5345rpmで、XC40リチャージより高く、車重が1790kgとXC40リチャージより240kgも軽いから、なかなかの韋駄天小僧である。 乗り心地はXC40リチャージよりしなやかだ。235/45R20という太くて薄いタイヤを履いているがゴツゴツ感は少なかった。 小さくてもボルボゆえ、衝突回避・被害軽減ブレーキ、レーンチェンジ・アシストなどの安全装備に手抜かりはない。本来ならスピード・メーターがある場所にはカメラがあり、ステアリング・ホイール越しにドライバーの目の動きをチェックしている。視線が大きく動いたり、目を閉じたりするとモニターに警告が出る。 デザイン、モーター、シャシー、そして環境性能もXC40リチャージよりも確実に一歩先に進んだEX30。商品として十分魅力的だった。 文=荒井寿彦(本誌) 写真=茂呂幸正 ■ボルボEX30ウルトラ・シングルモーター・エクステンデッド・レンジ 駆動方式 シングル・モーター後輪駆動 全長×全幅×全高 4235×1835×1550mm ホイールベース 2650mm 車両重量 1790kg バッテリー容量 69kWh 一充電走行距離 560km 最高出力 272ps/6500~8000rpm 最大トルク 343Nm/5345rpm サスペンション(前) マクファーソンストラット サスペンション(後) マルチリンク ブレーキ 前&後 通気冷却式ディスク タイヤ 前&後 235/45R20 車両本体価格 559万円 (ENGINE2024年5月号)
ENGINE編集部
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