北京大学の韓国語学科が定員割れ、中国でも「衝撃」…就職難・関係悪化が影響
中国最高の名門大学である北京大学の韓国語学科が、今年の学士新入生の募集で定員割れとなり、追加募集を行った。語学関連の名門大学である北京語言大学は、来年度の韓国語の通訳・翻訳修士課程の募集を中止した。不人気の外国語関係の学科の就職難や韓中交流の減少などの影響によって、中国で韓国語を専攻しようとする学生の数が減っているとみられる。 5日、中国の大学入試事情に詳しい関係者によると、北京大学は先月初めに韓国語学科の学士新入生の募集を行ったが、定員割れとなり、追加募集を行った。同関係者は「先月中旬、一部の省で北京大学韓国語学科の新入生追加募集が行われた」として、「韓国語学科とロシア語学科が定員に達しなかったと聞いている」と述べた。北京大学韓国語学科の学士課程は合計60人で、毎年15人の新入生を選抜する。このうち10人前後が韓国の大学修学能力試験(修能)に該当する「高考」の点数をもとに選抜するといわれている。 上海のある入試情報会社も先月18日、微信(WeChat)の公式アカウントを通じて、この件に関する状況を伝えた。同社は「今年の北京大学の追加募集名簿に韓国語やロシア語などの専攻科目が含まれた」として、「これらの専攻は志願者や点数が満たなかったため、追加募集が必要になったものとみられる」と説明した。中国は6月初めに高考を実施し、その後、全国の大学が新入生募集を行った。中国の大学は秋学期に新学年が始まる。 中国最高の大学であり世界的な名門大学に選ばれる北京大学が、学士新入生の追加募集を行ったのは異例のことだ。中国のSNSの微信などでは関連の内容が紹介され、「衝撃」「驚くべきこと」などの単語を使っている。 一部の大学では、韓国語関連の修士学生の募集を中止した。語学の名門大学である北京語言大学は先月、来年度の韓国語の通訳・翻訳課程の修士学生の募集を行わないと通知した。同校は来年度について、韓国語だけでなく、ロシア語翻訳、日本語通訳・翻訳、ドイツ語翻訳、スペイン語翻訳を専攻する修士学生の募集もあわせて中止した。同校は、これらの専攻の修士課程の新入生募集を中止する理由を明らかにしなかった。 中国で韓国語専攻の需要が減少しているのは、深刻な若者の就職難や人工知能(AI)技術の発展、韓中関係の冷え込みなどが原因とされている。なにより中国では、数年間続く景気低迷によって、若者の就職難が深刻だ。韓国語やロシア語などのいわゆる非人気言語の専攻者は、就職がさらに難しい。匿名を求めたある北京大学の卒業生は「英語は少し違うが、韓国語やロシア語などのマイナーな外国語関連の学科は、就職が容易ではない」として、「マイナー言語の語学を専攻する場合、法学や金融、メディアなどを複数専攻する必要があり、学生たちはだんだんこの分野の専攻を敬遠するようになっている」と語った。その反面、警察や軍隊、鉄道、電気など就職が容易な専攻に対する学生の人気はますます高まっている。台湾中央通信は、高考の高得点者たちが電気や鉄道など就職に有利な技術専門大学に集中していると報じた。 AI技術の発展も、若者のマイナー言語の学科への進学を妨げる要因だ。AIが急速に発展し、遠からぬ未来には翻訳や通訳の業務に代わるという予想が出ている。 韓中関係の冷え込みと両国間の経済交流の急激な減少も、このような現象の背景とされている。昨年の韓国の対中国輸出は前年比で19.9%減少し、中国からの輸入も前年比で7.6%減った。昨年の中国に対する韓国からの投資も、前年比78.1%減の18億6700万ドルだった。中国に30年近く住むある韓国系住民は「北京の韓国系住民の数は、ここ4~5年の間で10万人から1万人へと10分の1に減った」とし、「韓国企業の中国進出が減り、投資が急激に減少したため、中国の学生と親が慎重に進路を選択しているようだ」と述べた。 ただし、これは韓中間の問題だけではない。中国の急速な経済成長とこれに対する米国の強いけん制のため、西側と中国の間での経済的断絶が深刻化しており、韓中貿易もその影響圏のもとに置かれている。また、中国の経済政策の重点が、輸出ではなく内需に移り、マイナー言語の専攻者に対する需要はさらに減少している。 韓国でも中国語を学ぶ需要は大幅に減少した。2010年代末から大規模な中国語学校が相次いで閉校しており、2020年に入ると、大学の中国語関連の学科の廃止や修士課程の学生募集の中止が続いた。ソウルの三育大学は2021年に中国語学科と日本語学科を「航空観光外国語学部」に統廃合し、韓国外語大学の龍仁(ヨンイン)キャンパスは昨年、中国語・英語・日本語の通訳翻訳学科など13学科の新入生募集を中止した。教育統計サービスによると、2018年の全大学の中国語学科の入学生は4014人だったが、2022年には2727人と32%減少した。2021年には、公立の中高校は新任の中国語教師を1人も採用しなかった。 北京/チェ・ヒョンジュン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )