脱毛サロンの倒産、被害者は2年超で約27万人 経営の透明化とクレジット被害の保護が急務に
2024年「脱毛サロン」経営会社の倒産状況
若者を中心に人気が広がる脱毛サロンの倒産が急増している。2024年は16件(前年12件)で2年連続で年間最多を更新した。有名人を起用した積極的な広告宣伝で多数の顧客から前受金を集め、出店や広告を増やして事業を急拡大させる手法が通じなくなってきた。安価な医療脱毛の進出も増え、熾烈な競争で脱落する脱毛サロンが増加している。 脱毛サロンが破綻すると、顧客が前払いした施術代の返金は困難なケースが大半だ。被害者は2年超で少なくとも約27万人に達し、信販会社やクレジットカード会社との対応に追われる利用者も少なくない。 近年は業界大手の倒産が相次ぐ。12月に破産した医療脱毛サロン「アリシアクリニック」運営会社2社では、約10万人が被害を受けた。また、「全身脱毛サロンC3」運営の(株)ビューティースリー(2023年9月破産、負債80億円)の被害者(債権者)は約4万6,000人、「脱毛ラボ」運営の(株)セドナエンタープライズ(2022年8月破産、負債60億円)は約3万人、「銀座カラー」運営の(株)エム・シーネットワークスジャパン(2023年12月破産、負債58億5,700万円)は約10万人など、大型倒産で被害者の多さが目立つ。
倒産による被害者は、2年超の判明分で合計約27万人に及ぶ。有名タレントなどを起用した脱毛サロンの施術契約を信頼し、多額の前払金を支払い、未施術分が残ったまま倒産してトラブルに発展している。 脱毛サロン業界は、業績数値や前受金残高の公表、「前受金保全措置」のルール整備など経営の透明性確保が求められる。広告や安価サービスをうたい、利用者を集めて事業拡大する手法の見直しが急務になっている。 ※本調査は、東京商工リサーチ(TSR)が独自集計した倒産データから脱毛サロン経営会社の倒産(負債1,000万円以上)を集計、分析した。