ノーベル経済学賞に米アセモグル氏ら 国の貧富と社会制度の関連研究
スウェーデン王立科学アカデミーは14日、今年のノーベル経済学賞を、米国のマサチューセッツ工科大学(MIT)のダロン・アセモグル教授、同大のサイモン・ジョンソン教授、シカゴ大学のジェイムズ・ロビンソン教授の3人に贈ると発表した。経済と社会制度の関係などについて研究し、国家間の繁栄の違いについての理解への貢献が評価された。 3人は豊かな国と貧しい国が生まれる背景について、社会制度に注目して実証研究を実施。欧州各国による植民地政策をもとに、制度が植民地国での経済の繁栄に与えた影響を調べた。例えば、支配する植民者側の利益のために先住民や被植民者を搾取した国もあれば、長期的な利益のために包摂的な政治・経済システムを導入した国もある。そうした比較を通じ、植民地化の際に導入された社会制度が、繁栄の違いを説明する要因であることを示した。 また、そうした異なった社会制度が採用される背景についても分析し、搾取的な制度が存続する背景や、改革が起きやすい条件などについても明らかにした。 3人の研究の成果は、現在の途上国支援などに関する政策にも影響を与えている。 アセモグル氏とロビンソン氏は、こうした実証研究の成果を著書「国家はなぜ衰退するのか 権力・繁栄・貧困の起源」(邦訳)にまとめている。(ベルリン=寺西和男)
朝日新聞社