人命「軽視されとるやん」 浸水想定区域に小学校を建設 盛り土で周辺地域の浸水リスクが増加
■「盛り土」以外で建て替えた学校も 同じ洪水浸水想定区域でも盛り土ではなく別の工法で学校の建て替えをした自治体があります。 RKB 植高貴寛 記者 「周辺の住宅地への影響を考えて地面から2.6メートルの高さに盛り土ではなく高床構造で校舎が建てられています」 佐賀県嬉野市にある塩田中学校です。 2008年、校舎の老朽化のため学校施設のあり方を考える検討委員会を設置。移転も検討しましたが、地元住民の強い意向もありピロティ方式という高床構造で建て替えました。 ■校舎の下に水を貯める「高床構造」 嬉野市教育委員会 杉崎士郎 教育長 「学校に水を寄せて地域にできるだけ水をいかない方式の方が、ピロティ方式(高床式)の方がいいのではないかということで高床式になっています」 高床構造なので水は校舎の下にたまるため周辺に流れ出すことはありません。 さらに中庭をグラウンドより80センチ低くすることで貯水機能を持たせ洪水時に建物自体の水没を防ぎ避難時間を確保することを可能にしました。 嬉野市教育委員会 杉崎士郎 教育長 「今車が入ってきているでしょ。あそこから親御さんに生徒を引き渡すということをしています。もし洪水被害が起きた時に学校に来た場合でも、あそこは、一番水につからない、水が来ないところになっています」 ■福津市長「高床構造は耐震性が低い」 子供たちの安全を確保し周辺への浸水被害も起こさない高床構造での学校建設。 福津市の原崎市長は、高床構造は盛り土より耐震性が低く大地震における安全面を考慮すると「盛り土がベストな工法」と訴えます。 福津市 原崎智仁 市長 「高床式も、安全だと言ってもやはり柱の上に建って柱の下に基礎があるけど、やはりひびが入る可能性とかね、それは土の上にドンと乗っているほうが絶対安全だと思います。今回の工法(盛り土)で学校を作るのが一番ベストと思っています」 ■土木防災の専門家「高床構造の耐震性に問題ない」 しかし、土木防災の専門家は「基準をクリアすれば高床構造での耐震性に問題はない」と指摘します。
防災アドバイザー 近藤靖浩さん 「国交省が、構造に対する設計の指針を出しています。それに耐えられる構造を確認するという方向で国が指針を出していますので、それに準拠できれば地震には対応できるのかなと思います。盛り土だからとか高床だから全てが地震に弱いというわけではないと言えますね。」 台風シーズンを迎える中、福津市の建設現場では盛り土によるかさ上げ工事が着々と進んでいます。 新しい小学校は2027年4月に開校する予定です。
RKB毎日放送