JR貨物の輸送力1割減のまま、野菜や本など物流滞る…スーパー担当者「貨物車両が原因の遅れは想定外」
JR貨物が車輪と車軸の取り付け作業でデータ改ざんなどの不正を行っていたと発表してから、17日で1週間。11日には一時すべての貨物列車の運行が止まり、その後も輸送力は1割減のままで、物流への影響は続いている。国土交通省は全国の鉄道事業者などに対して、車輪・車軸の緊急点検を指示しており、影響はさらに広がる可能性もある。 【写真】JR貨物の不正が発覚するきっかけとなった機関車の事故
収穫繁忙期と重なる
「収穫の繁忙時期と重なった。重要な輸送手段なので、早く車両の点検を終わらせてほしい」。国内最大の農産地として知られる北海道・十勝地方にあるJA幕別町の担当者は17日、気をもんでいた。
このJAでは一時、本州などに向けて出荷するジャガイモやナガイモの多くをトラックとフェリー輸送に頼らざるを得なかった。現在は貨物列車の利用も再開しているが、担当者は「まだ列車の輸送量が戻りきっていない」と早期の復旧を求めた。
都内を中心に首都圏でスーパー86店舗を展開するコモディイイダ(東京)では、12日に到着予定だった北海道産のブロッコリーとジャガイモの入荷が1~2日遅れた。別の取引会社から仕入れ量を増やすなどし、店頭には通常通り品物をそろえたという。同社の担当者は「貨物車両が原因の遅れは想定外」と驚いた様子だった。
新刊を心待ちにする読者にも影響が出た。札幌市北区の大型書店「コーチャンフォー新川通り店」は、本州からの貨物輸送が滞ったため、13日に発売予定だった雑誌や書籍を入荷できなかったという。
ドライバー不足に追い打ち
JR貨物の不正車両は計632両に上り、11日には一時、すべての運行が停止した。貨物列車を利用する運輸各社は、輸送の一時停止を余儀なくされたほか、陸路や空路などの代替手段の確保に追われている。
西濃運輸(岐阜)は、工業製品や住宅建材など全国の貨物輸送で影響を受けた。11日だけで計330便の貨物列車での輸送を停止し、出荷から到着まで最大3日遅れたケースもあったという。12日以降は順次遅れは解消しているが、一部では17日も続いているという。