JR貨物の輸送力1割減のまま、野菜や本など物流滞る…スーパー担当者「貨物車両が原因の遅れは想定外」
ヤマト運輸(東京)も、東海や関西などを除く全国で、10日発送の荷物の到着が1日程度遅れた。北海道では、荷主から野菜などの代替輸送を依頼され、臨時の貨物専用機を飛ばして輸送したという。
ある運輸会社の担当者は「物流2024年問題で長距離ドライバーが不足している。長引けば代替手段の確保は難しくなるかもしれない」と不安そうに話した。
車両調査を継続
国土交通省は全国の鉄道事業者などに、現在使用する全車両の車輪・車軸について、取り付け作業の実施記録を確認した上で、今月末までの報告を求めた。
これまでに約180両で圧力値の目安を超える車両が見つかったJR北海道。安全性への問題は確認されなかったが、全約900両の調査を続けるという。
調査を終えたJR東海では、社内規定の値を超える車両が在来線で10両確認されたと発表した。安全性に問題はなく、データの改ざんもなかったとしている。
毎日400本運行
JR貨物は、1987年に国鉄が分割民営化されたのに伴って、貨物部門を引き継いで誕生した。JR各社などが所有し、全国に張り巡らされた約8000キロの鉄道ネットワークを生かし、1日約400本の貨物列車を運行する。
JR貨物が2023年度にコンテナ輸送した品目で最も多かったのは、宅配便などの積み合わせ貨物で、18%だった。お菓子や飲料などの食料工業品が16%、紙・パルプなどが11%、ジャガイモやタマネギなどの農産品・青果物が9%と続いた。
また国は、働き方改革により、トラック運転手の時間外労働時間の上限が規制され、輸送力の低下や物流の停滞などが懸念される「物流2024年問題」対策の一環として、鉄道の貨物輸送量を増やす計画を推進中だ。
そうした中での不正発覚に斉藤国土交通相は13日の閣議後記者会見で、「鉄道輸送の安全確保の仕組みを根底から覆す行為であり、貨物鉄道に対する信頼を大きく損なうものだ」と厳しく指摘した。