合併前の格差をなくせ 水道事業にこの20年で149億円 水道の有収率は81.9%へ上昇 鹿児島市
鹿児島市水道局は、市が周辺5町を編入合併した2004年以降、旧5町の水道管整備や老朽設備更新にこれまで、計149億円余りを充てている。水に濁りが出るなど水源が脆弱だった吉田地域や人口増加する松元地域への送水管設置のほか、配水池の遠方監視強化など旧市域との格差解消に力を入れてきた。 【写真】旧5町水道の有収率をグラフで見る
市水道局によると、水道事業の統合は合併翌年の05年度。06年度から11年度までの「旧5町水道整備計画」に基づく格差解消に計56億8000万円。その後も老朽化した水道管計45.5キロの更新に24億9000万円、ポンプなど設備更新・新設に67億7000万円を充てた。 吉田地域では、濁水や水量不足など水源が不安定だったため、旧市吉野地区の乙女塚配水池から吉田・婦ノ木ポンプ場(西佐多町)まで10.4キロに送水管を敷設した。通水は08年で工事費は約4億6500万円。松元地区でも、人口の増加に対応するため、旧市の皇徳寺ポンプ場から松元春山配水池までの4.3キロに送水管を計4億4000万円かけて整備。ポンプ場も新設した。 旧5町では合併当初、配水池の水位低下を遠方監視する設備が整っておらず、漏水発生の確認が遅れて断水する要因となっていた。これまで整備で、漏水の発生状況を知る指標となる旧5町の「有収率」(配水池などからの給水量に対する、料金などが計上される有収水量の割合)は05年の76.8%から23年は81.9%に上昇した。水道整備課の福永修三課長は「設備の水準が上がり、より安定した給水につながっている」と話した。
南日本新聞 | 鹿児島