続々と消滅する「街の書店」に惜別の声が上がる中、生き残った店に歯がゆさを感じる人も 「思いも寄らない本を見つけるのが醍醐味なのに…」
ネット通販や電子書籍が普及した影響もあり、どんどん減少している書店。特に駅前の商店街にあるような、小規模な“街の書店”が閉店するケースは多く、“書店がない街”も増えている。 【写真】「長らくのご愛顧、誠にありがとうございました」 住吉書房駒沢店の閉店を告知する看板
今年9月には、東京メトロ東西線の早稲田駅前にあった文禄堂早稲田店が閉店し、“早稲田大学の街”から書店が消えた。同じく9月に東急田園都市線駒沢大学駅に隣接した住吉書房駒沢店が閉店し、駒沢大学駅は“書店のない駅”となった。本と触れ合う機会が多い大学生が住む街でさえも、書店が生き残れない状況なのだ。 街の書店が消えていくことに寂しさを感じる人は少なくない。駒沢大学駅近辺の住民はこう話す。 「いまでも紙の本や雑誌を買い続けています。漫画も電子でなく単行本を買っています。書店が減り続けていることは知っていたので、支える意味も込めて住吉書房をずっと利用していたんですが、閉店は本当に残念です。仕事帰りに寄って、雑誌のコーナーを巡回するのが好きだったんですけどね」(40代男性) 「付録目当てで、女性ファッション誌をよく買っていました。ファッション誌って、ただでさえ結構重いから、なるべく家の近くのお店で買いたいんですよね。店頭でいろんな雑誌を見るのも楽しかったのに、閉店してしまうなんて寂しすぎます」(30代女性)
“商品を手に取って確認できる”書店の安心感
一方で、紙の本や雑誌へのこだわりを持ちつつも、街の書店ではなくネット通販を利用するという人もいる。 「単純に、キレイな本がいいです。街の書店の場合、ビニールがかけてあるマンガ以外だと、誰かが立ち読みをしたかもしれないし、実際にそういう跡がわかることがあって、それはちょっと嫌。大きな書店なら他にも在庫があるんだろうけど、小さな書店だと現品限りじゃないですか。ネット通販であれば、基本的には立ち読みされていない本が届くのでそっちのほうがいい」(20代女性) 「書店だと、店に並んでいる雑誌の表紙が折れていることも多い。また、入荷してから時間が経っている本だと日焼けしていることもある」(30代男性) 街の書店の場合、状態が悪い本が売られていることがあり、それが理由で買うのを避けている人もいるようだ。だが逆に、街の書店ならではのメリットもある。都内に住む会社員Aさん(40代女性)はこう話す。 「ネット通販も利用しますが、梱包が雑で表紙が折れ曲がった状態で届いたこともありました。でも、書店であれば状態がいいものを選んで買うこともできる。やはり、商品を手にとって確認できる安心感は大きいです。 あと、取り寄せの場合、ネット通販よりも書店のほうが早く商品が届くこともあるんですよ。アマゾンで売り切れになっていても、店舗では普通に売られていることもあるし、使い分けですね」