運転代行、広がる値上げ 金沢でも11月から 協会加盟各社、200~300円上乗せ
●小松に続き 燃料、人件費高騰 石川県内の運転代行業者で値上げに踏み切る動きが広がってきた。県運転代行協会の加盟各社は燃料費や人件費の高騰を受け、2年ぶりに基本料金を引き上げる方針で合意しており、9月に先行して料金を引き上げた南加賀に続き、金沢支部でも11月、多数の事業者が基本価格に200~300円を上乗せする。業界は人手不足が深刻で「物価高が続けば、質を維持するために来年も値上げを検討せざるを得ない」との声も聞かれる。 県協会の加盟業者では、小松市のタウン代行運転が9月に基本料金を1760円から2500円へ引き上げた。協会理事長を務める中川健治社長は影響に関して「いったんは値上げで離れた利用者も戻ってきた。大半は『しょうがない』という反応だった」と話す。 金沢支部では、プロタクシー(金沢市)系列のプロサービスが、県協会開発の配車アプリの運用開始に合わせ、夏前に基本料金を500円増の2500円とした。9月の支部会合では、加盟社が足並みをそろえ、年内に運賃を引き上げる方針を確認。値上げのタイミングはそれぞれが決めるが、年末の繁忙期を前に11月から料金を改定する業者が多いという。 その一つ、マックワン運転代行(金沢市)は1日、2千円としていた基本料金を2300円に変更する。ガソリン価格の高止まりに加え、昨年導入したクレジット端末機の手数料も重く、千田耐社長(県協会専務理事)は「客離れを覚悟してでも引き上げざるを得ない」と窮状を訴える。 アクセス運転代行(同市)も1日から、税込み2200円だった基本料金を、税抜き価格とすることで、220円増の実質値上げで対応する。 県内の運転代行業者数は89社で、18社が県協会に加盟する。これまで非加盟の事業者は加盟社の上げ幅を見定めてから後追いするケースが多く、値上げの動きは業界全体に波及するとみられる。 新型コロナの5類移行や円安の影響で回復した観光需要を取り込むタクシー業界と比べ、運転代行の利用数はコロナ前の水準に戻っていないという。千田社長は値上げの一方で従業員のサービス向上に努めるとし「以前のような価格競争から質の競争にシフトしていく必要がある」とした。