「ハリウッド版実写ガンダム」に登場した傑作MSたち Gセイバー以外にもカッコいい機体が!
米デザイナーがリスペクトした、日本のクリエイターとは
そういって見せてくれたのは、なんと、鈴木氏が描いたデザイン画がずらりと並んでいる『巡航追撃機ブラスティー』という、パソコンゲームを発展させてサンライズの企画室が模型誌で展開、連載していた作品のスペシャル本だったのです。 「こっち(L.A.)のKINOKUNIYAで見つけたんだ。こんな素敵なデザインがあるんだと知ってショックをうけたよ」 ケビン氏はうれしそうにそういってくれました。 予想外のことに、実はこの本もプロデュースしていたプロデューサーはびっくり。このスペシャル本自体がかなりマニアックなものでしたし、それをアメリカのデザイナーが手に入れて手本としていたのですから。 そんな彼がデザインしたのが、敵モビルスーツの「MSレイ(MWレイ)」と、深海潜水艇への可変機能を持つモビルスーツ「グッピー」です。 もう1体の敵モビルスーツ「ブグ」は大河原さんのデザイン。本編に先立ち、同じCGスタジオで作られたパイロットフィルム時にG-SAVIOURと一緒に出来上がったデータが、そのまま本編内に使用されています。 ちなみに、この「ブグ」という名前は、パイロットフィルムのスーパーバイザーとしてモビルスーツの動きなどをアメリカ側に指導した『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』の監督等でも著名な今西隆志氏が付けたもの。後に同じ名前のモビルスーツが別の作品に登場したようですが、G-SAVIOURの制作時に商標が確保されながらも商品化されなかった名称なのです。 ブグももちろん、鈴木氏のファンだったケビン氏がデザインしたMSレイもグッピーも、とても魅力的なモビルスーツなので、立体化されるといいなぁと、私は今も思っているのですけれど。 【著者プロフィール】 風間洋(河原よしえ) 1975年よりアニメ制作会社サンライズ(現・バンダイナムコフィルムワークス)の『勇者ライディーン』(東北新社)制作スタジオに学生バイトで所属。卒業後、正規スタッフとして『無敵超人ザンボット3』等の設定助手、『最強ロボ ダイオージャ』『戦闘メカ ザブングル』『聖戦士ダンバイン』『巨神ゴーグ』等の文芸設定制作、『重戦機エルガイム』では「河原よしえ」名で脚本参加。『機甲戦記ドラグナー』『魔神英雄伝ワタル』『鎧伝 サムライトルーパー』等々の企画開発等に携わる。1989年より著述家として独立。同社作品のノベライズ、オリジナル小説、脚本、ムック関係やコラム等も手掛けている。 2017年から、認定NPO法人・アニメ、特撮アーカイブ機構『ATAC』研究員として、アニメーションのアーカイブ活動にも参加中。
風間洋(河原よしえ)