青春ラブストーリーのキラキラ感、どう生まれる ヒットメーカー・新城毅彦監督が語る
主演の八木は27歳、ヒロイン役の池端は17歳と10歳の年齢差がありながらも、劇中では違和感なく同級生として存在する。撮影現場での雰囲気を問うと、新城監督は「八木くんは単独での映画主演は初で座長という思いもあっただろうし、池端さんはいい意味でイマドキの子。くったくなく明るい子で、助けたいと思わせる妹感がある。最初の頃はかなり緊張していたと思います。当初、スケジュールの関係で八木くんの出演シーン以外から撮り始めて、徐々に現場が温まったころに八木くんがインしたのですが、彼と会ってからはちょっと変わりました。八木くんが矢野くんになっているからだと思うんですけど、池端さんがだんだん伸び伸びしていって、近すぎることもなくいい距離感でやってくれていたように思います」と振り返る。 「ポカリスエット」(2023)のCMで注目を浴びた池端は、「ニコラ」の専属モデルとして活躍。ドラマ「オールドルーキー」(2022)でゲスト出演、アニメーション映画『かがみの孤城』(2022)で声優の経験があるが、女優としては走り始めたばかり。本作でヒロインに大抜擢となったが、新城監督は想像以上の健闘に圧倒されたという。
「正直なところ、最初は大変だなと思っていたんです。台本読み、リハーサルをしたんですけど、八木くんと白宮(みずほ)さん以外はほとんど芝居経験のない子ばっかりだったから危機感もありました。そんななかで池端さんには『ひるなかの流星』(2017)とか『午前0時~』とか、僕がこれまでに撮った作品を観て勉強してほしいと。“永野芽郁ちゃんみたいな女優にしたい”といったことも言いました。それで1か月後ぐらいにインしたときにはもう……若い子の伸びってすごいんですよね。 ガラッと変わったから。まだ引き出しはないけど、旬の子たちで華があるので、もともと持っている個性を生かせたらいいのかなと思いました」
とりわけ少女コミックを原作にしたラブストーリーに欠かせないのが青春の“きらめき”。多くのラブストーリーを成功させてきた新城監督は、どのように取り組んでいるのか? 「もちろん画の力とか、ライティングといった技術的なこともありますが、とにかくキャストたちに思いきりやってもらうことですね。僕は現場であまり怒ることもないし、 褒め殺しにするのでもなく、さほど距離を縮めるようなこともしません。今回のキャストは皆、娘、息子ぐらい年が離れていて純粋に可愛いとは思っていて。“変に悩まないで伸び伸びとやってほしい”“ダメだったらその時は言うから思いっきりやってほしい”と。それは、引き算をしていく方がやりやすいというのもあります。芝居の経験は少ないかもしれないですけど、例えば池端さんだったら「ポカリスエット」のCMをやっていたりモデルとして活動していたりして表現力は当然あるので、17歳の今しかない輝きを引き出せたらと思いました」