「AIグラビアが広まって仕事が減るようなグラドルは遅かれ早かれ消える」現役グラビアアイドルくりえみが「AI」で本当につくりたいものとは
前編
伊藤園やパルコが広告にAI女優を使用するなど、進化と起用が大きくなり続けるAI技術。ハリウッドではAI生成脚本に対するストライキも起きるほど、俳優や制作者にとっては脅威のテクノロジーともなり得るAI技術だが、その発展に進んで寄与するグラビアアイドルがいる。多くの雑誌の表紙も飾る、くりえみさんだ。彼女にこれからのAIビジネスの可能性を聞いた。(前後編の前編) 【写真多数】AIくりえみさんとリアルくりえみさん グラビアアイドルのくりえみさんは、2023年7月、AIグラビア写真集を刊行した。現役のグラビアアイドルとしては異例の試みに見えるが…。
グラビアを本気で愛しているグラビアアイドルは少ない
――さっそくですが、AIグラビア写真集を作った理由を教えてください。 まず私の仕事の9割の時間は、プレイヤーとしてではなく、経営者としての時間に割かれています。グラビアの撮影の場合、雑誌の撮りおろしでは丸一日拘束されますし、写真集の場合は準備も含めて何十日もかかります。 でもAIくりえみであれば、大幅にその時間を短縮できます。経営者としても、プレイヤーとしても最大限のパフォーマンスを発揮するために作りました。 ――AI写真集には、批判もあったそうですね。 もっと批判が多いと思っていましたが、賛否両論、半々くらいでしたね。でも批判してる人たちって、AIの可能性を知らないんですよ。「AIより実物のほうがいい」と、目先のことしか見えてない。 だから批判されるほど「正しいことをしてる、誰もやってないことに最初に手を出せた」と誇らしいです。 ――実際にどんな批判が多いんでしょうか。 「グラビアアイドルの仕事が減る」と言われますね。でも、それで仕事がなくなってしまう程度のレベルのグラドルなら遅かれ早かれ消えると思うんですよ。あと彼女たち自身、何十年も現役でいられるものだと考えていない。 ――磯山さやかさんのように40歳でグラビア写真集を発売する方がいるなど、グラビア界は全体的に引退時期が延びた印象ですが、実際に年齢の壁はありますからね。現役のグラビアアイドルからの苦情の声はありました? まだ直接言われたことはありません。私、11年前にデビューしたんですけど、売れたのはほんの4、5年ほど前からでそれまでは下積みでした。この11年間いろいろなグラドルを見てきましたけど、「楽しい! ずっとこの仕事したい!」と考えている人は悲しいけど、ほとんどいませんでした。 あくまでグラビアは入り口で、その先に夢がある。その目標を達成するための手段だという考えの人が多いんです。だからこそ、「AIに仕事を取られる」って考えになる人もそんなにいないんだと思います。