室井滋さんに聞く楽しく生きるヒント「自分がワクワクするものを探して日々を楽しむことかな」
室井滋の新著「ゆうべのヒミツ」(小学館)が話題になっている。俳優の傍ら、日々思ったことを面白おかしく描くエッセーに定評があり、著書は50冊を超える。今作は「女性セブン」の連載などから単行本化。“オバサン的観点”から今思うこととは──。 伊藤沙莉“トラコ”の「はて?」早くも流行語大賞候補に? 朝ドラ「虎に翼」脚本家とNHKは相性抜群 「昔ならどうかなって躊躇したり、心配したりしたけど、気にしなくなりました。オバサンなのでズバッと言ってるところがあるかな。そういえば、オバサンっていう概念も変わりましたね。30歳すぎてオバサンって呼ばれたよ、なんて言っていたけど、ホントにオバサンになったら、こういう服を着なきゃとかなくなったせいですかね」 ──エッセー執筆の面白いところは? 「1話目の家の前に落ちていたパンツの話なんてひどい話なんですけど……でもわかりやすく起承転結をつけて書くと昨日のことのように記憶が浸透して、自分の頭の中に定着するのでパンツのこともありありと思い出せる。そういう作業が楽しいんです」 ──執筆はいつ? 「昔は夜だったんだけど、今は夜いくら書いても全部ダメ。ダメだなって思ったら、寝て、朝起きるとまた違う考えが浮かんでくるから、朝書くことが多いですね。私ってヘンテコなことほど覚えちゃうので、そういうことを思い出して書きつづっています」 ──本には不眠の話もありましたね。 「私の友達はお年頃で、みんな眠れない人だらけだから(笑)。みんな早朝の時代劇を見てます。時代劇はこれはこれでわかっていても面白いのよね。私は、家計簿のこととか、死んだら誰に知らせてもらおうかな、とか考えたり、そんなふうに“吐き出す”と寝ちゃうんです。吐き出していると頭の中が整理できるんですよ。私の銭湯好きもひとつの吐き出し作業かもしれません」 ──芸能界に時代の変化はある? 「昔はホントに海外ロケとか多かったけど、今はなくなりましたね。例えば、九州の竹やぶで事件が起きた、なんて話だったら、昔なら九州でロケをするけど、今は現地の映像をライブラリーから入れて、千葉の竹やぶで撮影してできちゃう。すべて近くでできちゃうからロケで遠出する必要がなくなっちゃったんですよね。AIも登場して、変革期の渦中にあるなとは感じますね」 ──変化の激しい世の中をどう生き抜こうと考えているのか? 「まだガラケー使ってるし、生き抜こうとは思っていないけど……。自分がワクワクするものを探して日々を楽しむことかな。新橋駅前ビルなんてあんなワクワクするビルは他にないし、最近、相撲が好きで。タクシーの運転手さんに『ひいきの力士ができたら変わるよ』って言われたんですけどね、地元・富山の朝乃山の後援会に入って朝乃山を応援するようになったら他の力士の取組も見るようになって。朝乃山が休場していても見るし、国技館で相撲があれば必ず見に行くようになりました。そうやってワクワクしていることが自分の活力にもなり、エッセーのもとにもなっています」 (取材・文=岩渕景子/日刊ゲンダイ)