映画パーソナリティー伊藤さとりさん、設立2年目、発起人務める「女性記者映画賞」への思い
映画パーソナリティーの伊藤さとりさんがこのほど、スポーツ報知の取材に応じ、発起人を務める女性記者映画賞や、11日開幕の「HIBIYA CINEMA FESTIVAL 2024」(27日まで東京ミッドタウン日比谷)について語った。 同映画賞は2023年に「女性記者&ライター映画賞」として設立。今年から「女性記者映画賞」に名称を変更した。授賞の基準は「女性をエンパワーメントする作品」であること。女性記者、女性ライターのみの投票によって作品賞、監督賞、男優賞、女優賞、新人賞、外国語映画賞を決定。監督賞の対象は女性監督のみと定めている。 伊藤さんは「たちあげにあたっては(審査員を)男女同数でやるのか、女性だけでやるのか。いろいろな葛藤がありました」と語る。これまでの自身の経験を踏まえた上で「(『ジェンダーバランス白書』などを見ても分かるように)日本アカデミー賞の会員は7割、8割が男性です。どうしても(男女で)作品の好みにギャップが出てきてしまう。暴力的シーン、セクシャルなシーンに対しては、気になる部分も違ってきます」と説明。話し合いを重ねる中で「映画業界全体のバランスで見た時、あえて女性審査員だけを集めて作品や監督を選んだら何が起こるんだろうかと。海外の映画祭などを見てみると、意識的にやってみることが大事だと感じます。(世の中に)意識してもらうための『女性記者映画賞』という偏ったタイトルの映画賞になっています。まずは知ってもらい、意識してもらう。それだけでも違う気がしていて。(男女比の差という)問題が注目されれば、(この映画賞をきっかけに)針の穴でも開けられるのではないかと願っています」 女性記者映画賞と連携して開催される「HIBIYA―」は、「日比谷から始まる体験する映画祭」がコンセプト。7回目のテーマは昨年に続き、「ながらシネマ」。秋空の下、家族や友人と語らい“ながら”、くつろぎ“ながら”、映画の世界に没入し“ながら”、思い思いのスタイルで映画を無料で楽しんでほしいという思いが込められている。 開幕初日の11日には、同賞のアンバサダーを務めるMEGUMIを迎え、ナイトスクリーンプレミアムトークショー(後6時半、上映作品「愛にイナズマ」)を行う。伊藤さんは「(MEGUMIが)代表を務めるKICKYは、今年の仏カンヌ映画祭で『JAPAN NIGHT』を開きました。MEGUMIさんは、自ら(動いて)日本と海外との交流を作った方。オープニングを飾るにふさわしい方と思い、お願いしました」と話した。 12日からはナイトスクリーンで上映作品の監督、ゲストを迎えたトークセッションも予定。「都会のど真ん中で、野外の大スクリーンで映画を楽しんで頂けたら。『女性記者映画賞』の存在を知ってもらえなくても、(最低限)こんな映画を作っているんだと知ってもらえればうれしいです」 開催2年目。まだまだ始まったばかりだが、同映画賞の存在を周知徹底するためには点で終わらせず、線にする作業が必要と痛感している。「これを続けてやっていかなければいけないし、期待してくれている女性監督も多いので、使命感を持って取り組んでいます。(将来)気付いたら男女比が同じぐらいじゃない、となったらいいですね。それが一番の希望です」 前提として、映画ファンの裾野の拡大という思いが強い。「一人でも多くの方に、映画を好きになってもらいたいです。映画館の大きなスクリーンで見てほしいし、ライトユーザーの方にも興味を持ってもらえるように。映画ファンを増やしていきたいですね」(加茂 伸太郎)
報知新聞社