ウクライナ問題 日ロ関係への影響は?
ロシアの反応
一方、エネルギー輸出におけるEUや中国への依存を減らす観点から、ロシアも日本へのアプローチを強めてきました。 3月19日、プーチン大統領の側近で、ロシア国営の石油会社ロスネフチのセチン社長は、都内で開催された日ロ投資フォーラムで、欧米諸国による制裁を批判。そのうえで、ウクライナ危機でロシア系企業の株価が下落している状況が「日本の投資家にとってのチャンス」と述べ、サハリンなどでの巨大原油・天然ガスプロジェクトへの投資を呼びかけました。 日本の微妙な立場を認識したうえで、経済関係をテコに、ロシアは日本を欧米諸国から引き離そうとしているといえます。
日本外交の行方は
1979年のイスラム革命後のイランや1988年の軍事政権樹立後のミャンマーの場合、これらとの経済関係などから日本は、本格的な経済制裁を敷く欧米諸国と距離を置きました。今回のロシアへの対応は、これに近いものといえます。 一方、安倍首相は自由や法の支配などを重視する「価値観外交」を掲げており、さらに日米同盟の強化だけでなく、NATOとの安全保障協力も模索してきました。そのため、欧米とロシアの間で中立を保つことが、今までの政権より難しい立場にあります。 今後、欧米諸国によるロシア制裁がより大規模になった場合、日本はその立場をより明確にすることを求められるといえるでしょう。 (国際政治学者・六辻彰二)