亡き家族のスマホのパスワードが分からない 遺族を困らせない「デジタル終活」のすすめ これから 100歳時代の歩き方
スマホなどの料金を考え、遺族が故人の通信通話契約をすぐに解約してしまうケースは少なくない。しかし、伊勢田さんは「アカウントなどを調べる際に支障となる恐れがあるので、解約はデジタル遺品の処理が終わった後にしたほうがいい」と話す。
「終活」は高齢者だけに限らない
インターネットサービスはとかくたくさん利用しがちだ。銀行や証券、定額課金サービスなど、本人でも把握しきれていないことが多い。
伊勢田さんは「使用頻度が低いものを整理しておく必要がある。終活としてではなく、無駄なお金を使わないように、と考えればすぐに取り掛かれるはずだ」と言う。
パソコンやスマホ上のサービスを利用している人は、高齢者より若い世代のほうが多い。伊勢田さんは「スマホにすべての情報が入っているという人も少なくない。デジタル終活は高齢者に限った話ではない」と話している。(小川記代子)
■自分の情報を開示して親に話してみよう
親にデジタル終活を切り出すのに抵抗がある人は少なくない。実家片づけ整理協会代表理事の渡部亜矢さんは「子供が自分の情報を開示し、親の情報を聞くのも一つの方法だ」と話す。
自分はネットで投資をしているし、このアプリのサービスも使っている。アカウントはこれこれだ。災害があったら大変だから、お父さんにも伝えておくよ。ところで、お父さんはスマホで何かやってないの-。
「コロナ禍や自然災害があり、世の中、どうなるか分からなくなっている。『何かあったら困る』という観点で話を進めていくと、親も思いを共有しやすい」と言う。
防災という観点からは、パスワードなどを書いた紙の保管場所は、死後に家族が見るであろう場所のほか、「防災リュックにしておくのもいい」そうだ。渡部さんは「家族にきちんと情報が伝わることが何より大事だ」と強調する。