同い年のレーベルメイトで宿命の友、マカロニえんぴつが登場 ハンブレッダーズ『秋のグーパンまつりZ 2024』大阪公演レポート
夏が過ぎたらこの季節!が合言葉のハンブレッダーズ主催の恒例の対バンツアー『秋のグーパンまつりZ 2024』。11月27日、大阪・Zepp Osaka Baysideで開催されたマカロニえんぴつとの競演は、数々の強者たちとの対バンが繰り広げられる今回のツアーのなかでも、最も熱くてエモい一夜だったと言えるだろう。 【全ての写真】『秋のグーパンまつりZ 2024』大阪公演撮りおろし画像(全14枚) この日、ステージに先に登場したのは、マカロニえんぴつだ。 メンバー全員にこやかな笑顔を浮かべながらも、客席をぐるりと見渡す長谷川大喜(key/cho)の真摯な表情からは、この日の対バンに対する静かな闘志がみなぎる。 軽快なポップチューン「レモンパイ」でスタートすると、ハンドクラップとシンガロングで楽しそうに応える観客。2階席もすでに総立ち状態だ。「遠心」→「たましいの居場所」と、多くの迷う心に寄り添ってきたナンバーをエモーショナルに歌い奏でるマカロニえんぴつ。 「知ってる人は一緒に歌ってくれ」 虹色の照明のもと、はっとり(vo/g)が叫ぶと、「今日ってマカロニえんぴつの単独公演だっけ?」と思うほど、完璧な観客のシンガロングが場内に響き渡る。 ハンブレッダーズにとって、マカロニえんぴつは同い年で、同じレコード会社に所属するレーベルメイトであり、イベントやフェスなどでもよく顔を合わせる盟友だ。しかし、ハンブレッダーズにとっては、マカロニえんぴつはちょっと特別な存在だという。 今回の対バンツアー前にぴあが行ったインタビューで、「人生のなかでバンドをやめようと思った2回のうちの1回が、2018年に行ったマカえんとの対バンだった」と、語っていた、ハンブレッダーズのムツムロ アキラ(vo/g)。メンバーの脱退など、さまざまなことが重なったタイミングで、「当時の自分が思う完璧なライブ」を行ったマカロニえんぴつに、「心が折れた」という。 「だからこそ、11月の対バンではあのときの気持ちをもう一度ぶつけたいと勝手に思ってます。どのバンドに対してもそうですけど、マカえんには『真正面からぶん殴ってやる』くらいの気持ちで臨みたい」と語っていたムツムロ。 すでに堂々と自分たちの音と言葉で場内すべての観客の心を鷲掴みにしていくマカロニえんぴつは、今宵もかなり手強い相手だ。 「ハンブレッダーズとのツーマンは6年ぶり。満を持してここに立ってます」と告げたはっとりは、ハンブレッダーズの日本武道館公演を見て、「バンドを始めた頃の純粋な気持ちのままバンドをやっている姿に心打たれた」と語り、「今日は等身大の自分たちでやりたい」と宣言する。 「ハンブレのでらし(b)と約束しちゃったんだよ、音楽でグーパンしてくるわって。ダサって言われたわ(笑)。でも楽屋に菓子パン置いてあった。ダジャレかよ(笑)」と、今回の対バンに対する誠意と意気込みをユーモアを交えて語るはっとりのMCに、フロアから大きな歓声が湧き起こる。 「音楽は好きかい?そんなあなたのために」というMCで始まった「MUSIC」から「悲しみはバスに乗って」へと続けた後、突然披露されたのは、ハンブレッダーズのライブ讃歌「ライブハウスで会おうぜ」のカバーだった。ハンブレッダーズに対する友情と敬意に溢れたマカえんver.の「ライブハウスで会おうぜ」に場内が一気に盛り上がるなか、長谷川もキーボードから離れ、エアベースでステージ前に躍り出て観客を煽る。 点滅するストロボライトの下、はっとりがギターのエフェクターを操作してノイズを響かせる演出の後、披露された「星が泳ぐ」では、ミラーボールに反射した光が、場内を一瞬で美しい宇宙空間へと誘う。 「ハンブレッダーズとは見てきた景色は違うけど、こうやってお互いにロックバンドっていう同じ概念、同じスタンスで成立するのがうれしいです。楽屋にあったでらしからの手紙……ハンブレはそういうことをしてくれる人たちなんだよ。で、そこに、見てきた景色は違うけど、いいクロスオーバーをしていけたらって書いてあった」 そんなはっとりのMCの後、最後に披露されたのは、<君といるときの僕が好きだ>と歌う、「なんでもないよ、」。 ポップとロックの頂点を目指す果てしない旅路のなか、純粋な心を持ち続けて突き進む盟友がいる。 「独りを選ぶなよ!」 最後にそう告げたはっとりの言葉に、フロアから大きな歓声と拍手が湧き起こる。深い愛を歌った歌が、この日はかけがえのない友情のための歌に響いた。