<独占インタビュー>ロッテのドラフト1位 平沢の現在地
筆者は、運よく4月上旬に浦和球場を訪れた際、平沢が、逆方向のレフトのフェンスの向こうに放り込んだ2ランホームランを目撃した。 狙ったホームランじゃないよね? 「たまたまです、当たればホームランになりますから。あくまでも追いかけているのは正確性。ヒットの延長がホームランという感覚です」 当たればホームランになる? 「ホームランは狙っていません。ボールに逆らわない。外にボールが来たから、あそこへ打っただけ。強く振るでもダメなんです。強く振る中で、素直さ、対応する力も必要になります」 キャンプでスイングのシャープさは目を引いたが、パンチ力はまだ足りなかった。なぜ打球が飛ぶようになったのか、追い求めている正確性はどういう形から造りだすのか、バッティング論議を深めていくと、平沢は「打ち方を意識して変えているんです」と、突然、その場で立ち上がって、エアスイング。 「右脇を開けないこと。ここが開くのが癖になっていました。右脇が開くと左肩が下がり、そこから無理に打つとヘッドも下がりインサイドが苦しくなるんです。右脇を締めて、その流れで左手を立てながら打つ。すると、インコースがさばけます」 前の手の脇があく現象は金属バットの弊害だろう。楽天のオコエ瑠偉も、平沢と右、左は違うものの、キャンプで、まったく同じ課題に悩まされていた。 平沢も、「2人とも、そこが課題なんだと思います。僕は、木のバットそのものへの戸惑いはなかったんですが、脇を締めたスイングを身につけるためには反動をつけずに打てる体の強さも必要になります。今はフィジカルもやっている最中です。細かい栄養面までは考えていないんですが、体は大きくしたいので、間食を意識的に摂るなど、食べることはしています」と言う。 平沢は、仙台育英時代から木製バットでバッティング練習をしていた。 「プロを意識するというよりも大学、社会人に進んでも木製ですからね。冬は木で。春はマシン打撃だけは木で打ちました。仙台育英ではマシンはカーブだけを打つんですよ」 マシン打撃で、150キロのボールを打っていた、どこかのプロ野球チームもあったが、ミートポイントを確認してフォームを固めるためには、むしろスピードボールは逆効果。現役時代の落合博満氏も、キャンプ中は室内ドームにこもって、マシンを遅いカーブに設定、それをしっかりとためて右、左へと打つバッティング練習を繰り返していた。仙台育英は、正しい指導をしていた。平沢のバッティングセンスの原点だ。