クスリのアオキ株主総会 社長ら解任案否決、香港ファンドが提案 物言う株主、続く対立
クスリのアオキホールディングス（HD、白山市）の定時株主総会は16日、金沢市内で開かれ、香港系投資ファンド「オアシス・マネジメント」が青木宏憲社長ら取締役3氏の解任を求めた株主提案が反対多数で否決された。ドラッグストア業界の再編やガバナンス（企業統治）の改善を求める同ファンドの提案は2年連続で、「物言う株主」（アクティビスト）との対立は収束の兆しが見えない。 アオキ側は、取締役を10人以内から11人以内とする一部定款の変更、取締役11人の選任など議案4件を提出し、いずれも賛成多数で可決された。取締役の選任案に対する賛成率は、宏憲社長が82・4％、弟の孝憲副社長が83・6％、おじの保外志最高顧問が86・0％、ほかの取締役が73・9～88・7％だった。 一方、宏憲、孝憲、八幡亮一の取締役3氏の解任を求める株主提案に対する賛成率は、宏憲氏が17・6％、孝憲氏が16・7％、八幡氏が16・9％となった。 オアシスは同HDの株を9・67％保有しており、筆頭株主のイオン（9・98％）に次ぐ大株主。アオキ側が宏憲、孝憲両氏に対し、不当に安い価格で行使できるストックオプション（自社株購入権）を発行し、1株当たりの価値を低下させたほか、発行を適正な手続きを経ずに決めたなどと主張し、「ガバナンスに重大な問題がある」としていた。 これに対しアオキ側は「価格は第三者機関による客観的な分析に基づくものだ」とし、オアシス側の主張に合理性がないなどと反論した。 オアシスは昨年の同HDの株主総会でも、業界再編の機運が高まる中、M＆A（企業の合併・買収）などに知見を持つ社外取締役の選任などを提案したが、否決された。 また、ストックオプションの発行に伴い、宏憲氏らに70億円超の損害賠償を求める訴訟を金沢地裁に起こしている。同HDはこの訴訟について、原告側の主張に適切に反論する必要があるとして、被告側に補助参加することを決めた。 ●出席者6割増、時間は最長 採決待たず退席も ホテル日航金沢で開かれた総会には昨年より6割多い114人が出席した。午前10時に始まり、終了は午後0時28分で、開催時間は昨年より34分長く、過去26回で最長となった。 株主からの質問は28問（前年比6問増）あり、このうち17問はオアシス側が事前や当日に出した質問で、ほとんどがストックオプションに関する内容だったという。残る11問は一般株主からの質問で、出店状況や業績、株主優待などについてだった。 出席した金沢市の70代男性は「オアシスはストックオプションの話題ばかり。長すぎる」と眉をひそめた。長い質疑に採決を待たずに退席する出席者もいた。 一方、石川県外から訪れた50代男性はオアシス側の提案に賛成だとし、「同族経営が長く、弊害が出ているのではないか」と不満を口にした。 クスリのアオキHDはオアシスに関して「要望があれば丁寧に対話し、議論していきたい」との見解を示した。オアシス側はコメントしなかった。
