秋篠宮さま“いじめ発言”は「息子を守るため」 政治学者・原武史さん「皇族は生身の人間」
秋篠宮さまが秋篠宮家に対するバッシングについて「いじめ的情報と感じる」と発言した。国民への強いメッセージをどう受け止めればいいのか。政治学者の原武史さんに聞いた。AERA 2024年12月23日号より。 【写真】悠仁さまの進学などに対するバッシングへの苦悩を語った秋篠宮さま * * * 秋篠宮家への反発やバッシングの背景にあるのは、「平成の反動」です。平成の天皇・皇后は無私の精神で国民に寄り添い、国民の幸せを祈ることを象徴の務めとして定義づけ、それを忠実に果たしました。そして、全身全霊で務めを果たすことが難しくなったとして、退位に言及したのです。平成の天皇・皇后の姿は、理想の皇室像として国民に広く受け入れられており、令和の天皇・皇后もまたそれを意識した行動をしています。 一方、秋篠宮家の場合、小室眞子さんの結婚の際に「公よりも私」を優先したように映ったのでしょう。平成の皇室が定義づけた象徴のあり方に反し、自分たちの都合を優先させているとのイメージが広がりました。悠仁親王の進学問題についてもそのイメージをもとに議論されているように感じます。 しかし、天皇や皇族もまた生身の人間です。代替わりによって天皇が代われば、スタイルも変わって当然です。前代のスタイルを強制することは、生身の人間に大きな負荷がかかります。例えば、大正天皇は皇太子時代、神格化された明治天皇とは違い、自由で、ある意味奔放な行動を許されていました。しかし、即位後は明治天皇のスタイルを踏襲するよう強制された。大正天皇が体調を崩し、早くに亡くなった原因の一つはそこにあると思います。特に摂政を置かれてから亡くなるまでの5年間は、悲惨と言っていい状態でした。明治天皇を過度に理想化して持ち上げたことが、その後の天皇制というシステムを歪めてしまったことに目を向けるべきです。 秋篠宮は以前から、思い切った発言が注目されてきました。2018年、大嘗祭への巨額な公費支出に疑問を呈したこともその一つです。今の皇室典範のもと、将来天皇になる悠仁親王は、筑波大学に進学することになりましたが、新たなスタイルをつくってもらいたいと考えているのかもしれません。