《日経平均株価はいずれ30万円に》経済アナリストが解説する「日本の衝撃の未来」と「バブルのサイン」
日本株には上昇余地がまだまだある
エミン:2013年の年初に日経平均株価は約1万円、PERは約17倍でした。それから約10年で日経平均は約4倍になりましたが、PERは変わっていません。むしろわずかに下げている。要するに、その間に企業の利益も4倍になっているということです。 企業業績の上昇は今後も続くと期待しています。日経平均全体のROE(自己資本利益率)は約8パーセントですが、アメリカをはじめ世界では10パーセント以上が当たり前です。日本企業も資本効率向上に取り組んでいますので、いずれROEはもっと上昇するでしょう。 2023年3月、東証は上場企業に対して「低PBR対策」の実施を要請しました。PBRとは株価純資産倍率のことで、PBRが一倍を割っている場合、会社を潰して清算したほうが儲かるという意味。 日本企業の中にはPBRが一倍を割っている企業がたくさんあります。こうした企業は自社株買いをしたり、配当金を上げたりして、低PBRの解消に動くと予想されます。こうした動きが活発化するだけでも日経平均はもっと上がるのです。 また、日本では取引先との関係維持のために、株を持ち合っていることがあり、こうした株を政策保有株と言います。ただ、これは株を塩漬けにしているに等しいので、株式市場の活性化という面ではマイナス。そのため東証プライム上場企業では政策保有株を売却する動きが出てきていますが、解消されたのはまだ2割程度です。 東証が進める株式市場改革はまだまだ道半ばで、改善の余地は大きい。要するに日本株には上昇余地がまだまだたくさん残されているわけです。 日経平均はすでに4万円をつけたので、5万円はかなり見えてきました。となると、その先に10万円までいくのも現実味を帯びてきている。それこそFRBが利下げし、ちょっとしたラリーがあれば5万円に到達するかもしれません。 ただ、どこかで一度はバブルになると思います。全員が「日経平均はもうすぐ30万円」と言い出したら、それがバブルのシグナルなんじゃないでしょうか。そうなったら早く売ったほうがいいと思います(笑)。
永濱 利廣、エミン・ユルマズ