『アクターズ・ショート・フィルム4』監督登壇イベントレポ 森崎ウィンは監督の肩書に大興奮
『せん』森崎ウィン監督登壇イベント
中尾ミエを主演に、田舎に住む老婆の日常をミュージカル調で描く『せん』を手掛けた森崎監督。満席の会場に向けて挨拶を求められると「このたび『せん』の監督を務めました……。うおおお!」と監督という念願の肩書に大興奮で、ファンからも盛大な祝福の拍手を送られていた。 ミュージカル映画を監督することを自身の目標に掲げてきたという森崎監督。「まさかこんなに早く願いが叶う日が来るとは思わず、今回のオファーは純粋に嬉しくて、撮影も本当に楽しかった。俳優業とはまた違うワクワク感があって、ゼロからものを作り上げることに携わったことで新たなモノづくりの魅力と深みを実感しました。自分がエンターテインメントという素敵な世界に携われている幸せを改めて噛みしめることが出来ました」と大興奮だった。 脚本・作詞を託したのは、森崎監督がその才能に惚れる上田一豪。森崎監督は「自分が監督でミュージカル映画を撮るならば、上田さんに脚本を書いてほしいとお願いしました。打ち合わせで、僕が今の世の中で起きている事をどう映画に落とし込もうかと話していく中で今回の物語のベースが出来上がりました」と熱のこもった共同作業を振り返った。 自他ともに認めるおばあちゃん子である森崎監督は、中尾の起用について「今回の物語でおばあちゃんを中心に描きたいと思った段階で、中尾ミエさんのお名前は頭にありました」と念願かなったようで「中尾さんは歌唱シーンが一番ある中でオファーを快諾して下さり、僕が一度共演させてもらった時に築いた関係性は未だに残っていたんだと感謝しています」としみじみ。ちなみにミャンマーにいる祖母にも、いつの日か本作を見せたいそうだ。 森崎監督は俳優としても出演し、歌唱も披露するが「監督と俳優の切り替えは難しくて、演技に集中し過ぎてカットを言い忘れて『あ、俺が言うのか』となった」と思い出し笑い。自身の歌唱シーンは技術的問題で伴奏を聞かずにアカペラで臨んだそうで、カメラの後ろで音楽監修の山野氏が指揮者のようにリズムを取っての撮影になったという。「長回しのワンカットで撮りたかったので、OKになった時は現場中がとんでもない盛り上がりになった」と見どころに挙げていた。 また、『せん』という意味深なタイトルについて聞かれた森崎監督は「戦いの発端になるボーダラインという『せん』の意味もあるし、戦争の『せん』と捉えてもらっても構いません。生きていく中で人間は勝手に線引きをしている瞬間もある。ただタイトルを漢字で『線』にしなかったのは、それだけに捉われてほしくなかったからです」と解説。ちなみに題字は森崎監督自らが書こうとしたものの「僕の字を見た樋浦さんの反応が微妙で……」と残念そうに森崎監督がぶっちゃけると、樋浦Pは「森崎監督バージョンもアナザービジュアルとして解禁しましょう!」と提案。集まったファンを歓喜させていた。