「もめない遺言」のコツ 何回でも書き換える意識で作る 動画の遺言は法的効力なし 【老いゆく社会】
広島ニュースTSS
お金をキッカケに広島の暮らしやビジネスに関わるニュースをお伝えしていきます。 【矢野ディレクター】 前回に続いて、今回も「遺言」のお話です。 今回のテーマは「もめない遺言とは」 「遺言」は、被相続人の思いを残すとともに、法的な拘束力を持つ文書でもあるわけです。 それでは、「遺言」って、どうやって書いたらいいのでしょうか? 【弁護士法人あすか・谷脇裕子弁護士】 「『遺言』でよく利用されるものが2つあります。『自筆証書遺言』と『公正証書遺言』どちらにもデメリットとメリットが両方あります」 これら、2種類の「遺言」は、どんな違いがあるのかというと・・・。 【弁護士法人あすか・谷脇裕子弁護士】 「『自筆証書遺言』は自筆ですから、自分で書くので紙とペンと印鑑があればできる。非常に手軽ですが、紛失したり、隠蔽されたり、改ざんされたり、という危険がある。あとは筆跡でもめたり」 このような心配がないのが、『公正証書遺言』です。 【弁護士法人あすか・谷脇裕子弁護士】 「『公正証書遺言』は公証役場で公証人に遺言の中身を話して作ってもらうので、改ざんの危険とか紛失の恐れはないが、費用がかかってくる」 ここに出てきた、「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」。 主な違いは、「自筆証書遺言」は手書きで手軽ですが、「本物なのか?」「改ざんされていないか?」などの疑いが生じるケースがあります。 また、「遺言書」を紛失するという事態も起こります。 「公正証書遺言」では、その心配はありませんが、費用がかかる上に、「2人以上の証人が必要」という規則があり、手軽さという点では問題があるわけです。 ここで問題です。 (問題) 父親が亡くなった後、封印された封筒に入った「遺言書」が出てきました。 相続人の1人が誤って、封筒を開けてしまいました。 この場合、「遺言書」の内容は、無効になってしまうのでしょうか。 正解は「遺言が無効になるわけではない」 【弁護士法人あすか・谷脇裕子弁護士】 「開封して家庭裁判所に持っていったから遺言が無効になるわけではない。しかし疑義が生じたり、争いのもとになりかねない」 「自筆証書遺言」の場合、本物かどうかなどが重要なポイントになります。 【弁護士法人あすか・谷脇裕子弁護士】 「家庭裁判所に、検認という手続きに出さないといけない。そこで相続人が見ているところで封を開けなければいけない。もし遺言を見つけたら安易には開封しないようにしてください」 <スタジオ> 「自筆証書遺言」の場合は、家庭裁判所で、本物かどうか確認してもらわなければならないのです。しかし、最近、「自筆証書遺言補完制度」という、法務局が「自筆の遺言」を預かる制度ができました。 この制度は、有料ですが、「公正証書遺言」に比べて、費用が安く、この制度を利用すれば、「検認」の必要はなく、「遺言書」がなくなる心配もありません。 「遺言」の方法は、いろいろありますが、多くの場合は、自筆で書く方が多いと思います。 その場合、大切なポイントがあるんです。 【弁護士法人あすか・谷脇裕子弁護士】 「自筆証書遺言」の場合は、日付はきちんと書いていないといけない。何月吉日とか、何月まで、しか書いてない場合は、有効性が認められなかったり、本文は自筆で書かないといけない。抽象的な内容、財産が特定できないようなものだと、せっかく書いても有効性に疑義が生じるケースがある」 <スタジオ> 「遺言書」は、要件を満たしていないと法的効力がなくなるケースもありますので、書き方なども、専門家に相談した方が確かだと思います。 それでは、ここで、問題です。 (問題) 簡単に動画が撮影できる現代。 「動画による遺言は法律上有効なのでしょうか?」 正解は(法律的な)効力はない。です。 【弁護士法人あすか・谷脇裕子弁護士】 「意思を残すという意味では、意味がないとは思わない。メッセージとしては意味があるのですが、例えば(相続で)もめた時に(遺言)に書いてある通りの相続を実現しようとすると、それには(法律的な)効力はない」 動画は、法律的には効果はないんです。 但し、財産を渡す側の思いやメッセージが、より、リアルに伝わるという意味では、みんなが納得して、もめない相続のためには効果的かもしれません。 最後に、「遺言」について、専門家はこのように話します。 【弁護士法人あすか・谷脇裕子弁護士】 「遺言については何度でも書き換えが可能。1回作ってみることが大事だと思う。例えば毎年正月に見直して作り直すとか、あとに作った遺言書が有効ですので、何回でも作り変えられるという意識で作ったらいいと思う」 <スタジオ> 親族でもめると一番つらいですね。 【コメンテーター:木村文子さん】(女子100mハードル元日本代表・エディオン女子陸上部アドバイサー) 「やっぱり、もめないためにも、先ほど言われていたみたいに何度も見直すっていうことも大事なのかなと思います」
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