「みんなの毎日がより素敵になるような、そんなアルバムを目指しました」小林愛香2ndアルバムを語る
小林愛香の2ndアルバム『Illumination Collection』が8月21日にリリースされた。初のフルアルバム『Gradation Collection』から約3年ぶりに発表される本作は、前作から引き続き音楽プロデュースチーム・Q-MHzが手掛ける「Lonely flight」「Original My Life」に加え、佐伯ユウスケをフィーチャーしたラップナンバー「YARUSHIKANAI feat.佐伯ユウスケ」、小林がショルダーキーボードを演奏するシンセポップチューン「Breakthroughだ!」、自身の愛犬をテーマに作詞で携わった「Can Can One One」、ソーシャルメディア番組『アニソン派!』のクリエイターコンペで採用された個性豊かな「アミュレットメモリー」「Live goes on!!」「だれも知らないんだ」、そしてシングル曲「グミチュウ」のパソコン音楽クラブによるリミックスなど、バラエティに富んだ12曲が収録されている。 【写真を見る】小林愛香、美麗な撮り下ろしカット 「いろんなタイプの楽曲を歌うけど、それが全部グラデーションでつながっていて、それも私の色なんだよっていうのが前作『Gradation Collection』でしたが、今作ではさらにいろんな面を見せていきたくて。それこそイルミネーションのように光を灯して、聴いている人に寄り添いながらみんなの毎日がより素敵になるような、そんなアルバムを目指しました。アルバムが完成した今も、正直こんなにもまだいろんな色があったんだと驚いています」 ■いつもの私を知ってる方からすると「こんな歌い方もできるんだ!」とびっくりするんじゃないかな 1曲1曲が異なる光を放つ楽曲群において、小林自身はまずどんなタイプの楽曲を歌ってみたいと思ったのだろう。 「歌い上げる系のバラードはぜひ挑戦してみたいなと思っていました。それがこのアルバムの9曲目「As One」なんですけど、本当に壮大なサウンドとアレンジで。ボーカルディレクションを(作詞・作曲を手掛けた)カミカオルさんがしてくださったんですが、今までとはまたちょっと違う歌い方をしているので、いつもの私を知ってる方からすると『こんな歌い方もできるんだ!』とびっくりするんじゃないかと思います。バラードで言うと、『アニソン派!』のコンペで選ばれた「だれも知らないんだ」も最初に聴いたときから歌ってみたかった曲のひとつ。世界観が本当に独特で強かったので、私の用いるすべてを持ってレコーディングと向き合いました。それこそこの1曲にいろいろと詰まりすぎている気がして、聴き終えたときには長編映画を1本観たくらいの充足感を味わえるんじゃないかと思います」 2020年のシングル「NO LIFE CODE」から小林とコラボし続ける佐伯ユウスケをゲストに迎えた「YARUSHIKANAI feat.佐伯ユウスケ」では、ラップにも挑戦。 「ラップはそこまでやったことはなかったんですけど、今回は一発録りみたいな感じで、佐伯さんと歌いました。何回か録ったはずなのに、なぜか最後にふざけてやったテイクが採用されてしまって(笑)。肩の力が抜けた緩やかな空気感から、楽しさが伝わったのかもしれませんね。歌詞の中には私に関するいろんな要素が盛り込まれているので、そういうところにも注目するとより楽しめるんじゃないかと思います」 ■私のワンちゃんに対しての愛が詰まった楽曲になっています 自身も演奏に加わった「Breakthroughだ!」は、ショルダーキーボード(ショルキー)をプレゼントされたことから生まれた1曲だ。 「プロデュースも手掛けてくださる田代(智一)さんがショルキーをプレゼントしてくださったんです。そこから『もしかしてショルキーを使う曲ができるのかな』と想像していたんですけど、自分が演奏するのは1音、2音程度かなと思っていて。ところが、いざ届いた『Breakthroughだ!』ではソロパートを担当することになって、しかも初心者には難しいフレーズだったんです。この曲の作詞・作曲を手がけたやしきんさんに手ほどきしてもらいながら練習したんですが、正直『なんてことをしてくれたんだ!』と思いました(笑)。いつかライブで披露する日も来るかもしれないので、今から猛練習しておきます!」 1stアルバム収録「たたたんばりんりずむ」に続き、今作でも「Can Can One One」にて作詞にも携わっている。この曲には小林にちなんだ“ある秘密”が隠されているという。 「私のパーソナルな楽曲をつくろうということで、『だったら犬が絶対に出てくるね』みたいな話になって。それで私が書いたエッセイ風の歌詞をお渡しして、メロディに合わせた形に手を加えてもらいました。私の書いた言葉をそのまま使っていただいている部分も多いので、私のワンちゃんに対しての愛が詰まった楽曲になっています。実はこの曲、コーラスでうちのワンちゃんたちの声が入っているんです! ぜひそこにも注目して聴いてほしいです。あと、アルバム初回生産限定盤Aのスリーブケースに写っている犬のぬいぐるみ、これは「Can Can One One」の歌詞からイメージしてつくっていただいたもの。めっちゃかわいいので、いつかグッズ化できたらなと思っています(笑)」 ■小林愛香っていう声帯を使っていろんな歌に挑戦できたんじゃないかと思います 『アニソン派!」のコンペ企画から生まれた3曲も、先の「だれも知らないんだ」同様にクセの強い楽曲ばかりだ。 「100以上の応募曲を一つひとつ聴かせていただいて、そこから選ばせていただいたので、私にとってもすごく貴重な体験でしたし、宝物を見つけたようなうれしさもありました。「アミュレットメモリー」なんて本当に素敵な曲じゃないですか。生の弦楽器を取り入れたことでより深みが出ましたし、メロディを含め包み込むような優しさが感じられて、歌っているだけで暖かな気持ちになれる1曲です」 そういったバラエティに富んだ楽曲群を、小林は曲調やその曲の世界観に合わせた声色で表現している。そういった歌唱に関しては、どこまで意識的だったのだろう。 「何を歌っても自分らしくはなると思うんですけど、あまり意識しすぎると“小林愛香のキャラソン”みたいになってしまうんじゃないかと危惧していて。そこはキャラソンにならないギリギリのラインを田代さんに調整してもらいながら、小林愛香っていう声帯を使っていろんな歌に挑戦できたんじゃないかと思います」 10月にはこのアルバムを携えたライブツアーも控えている。 「アルバムタイトルを冠したツアーなので、もちろんここから新曲もたくさん披露する予定です。私は楽曲に関してもライブについても、聴いてくださる皆さんのことを思いながらつくっていて。特に今回のアルバムにはみんなで一緒に歌えるパートもたくさん用意しているので、そうやって会場にいるみんなで完成させるようなライブにしたいです」 (取材・文/西廣智一)