木造立体迷路の安全基準策定を国に求める 消費者事故調が報告書
遊園地に設けられた木造立体迷路のアトラクションを巡り、消費者庁の消費者安全調査委員会(消費者事故調)は27日、安全基準を策定するよう経済産業省に求める報告書を公表した。兵庫県加東市の遊園地「東条湖おもちゃ王国」の立体迷路で2021年、利用者6人が重軽傷を負った事故を受け、消費者事故調が原因を調査していた。同種の施設は全国に数十あるといい、専門家による調査を施設側に求める緊急対策も盛り込んだ。 報告書によると、ジェットコースターや観覧車などの駆動装置が付いているアトラクションは建築基準法による規制対象となり、定期点検や行政への報告が義務付けられている。 一方、おもちゃ王国の立体迷路は木造5層構造、定員300人と大規模だが、屋根がないため同法上の建築物にはあたらない。法規制や安全基準の対象外で、安全管理は施設運営者任せになっていた。 施設では床板を支えるはりが腐朽し、3階の床が抜け落ちる事故が発生した。施設運営者の点検表には、床板裏側が点検項目に入っていなかった。こうしたことから、規制対象外の構造物が有する危険性が、十分に認知されていないことが事故原因だと総括した。 中川丈久委員長(神戸大教授)は記者会見で「早期に安全基準を作っていただきたい」と述べた。【堀菜菜子】