「えっ!オコエ瑠偉にセーフティースクイズ?」阿部慎之助監督の采配に異論が…巨人首位でも得点力不足の理由 思い出すのは長嶋監督時代の落合博満?
巨人の得点能力が低下している理由
いまのチーム状況をしっかり把握しているなら批判は当たらないし、反省すべきはセーフティースクイズのサインではないということだ。 この局面だけなら、反省点はしっかりバントを転がせなかったオコエの失敗。ゴロゴーのサインが出ていたにもかかわらず中途半端な走塁で、しかも突っ込まずに本塁前で止まってしまった立岡の走塁が挙げられる。 しかし根本的な部分で言えば、やはり1死二、三塁から犠飛も打ち上げられずに、1点も奪えなかったクリーンアップの勝負弱さだ。今年の巨人がここまで得点能力を下げている一番の理由も、そこにあるのは明白である。 交流戦が始まる前の巨人の主力打者の得点圏打率は丸(.222)吉川(.186)岡本(.235)坂本(.179)という低さである。もちろん得点圏打率だけが全てではないが、なかなかチャンスを作れない上に、好機に1本が出ない。 それが巨人打線の現実なのである。 思い出すのが1993年のことだった。この年から長嶋茂雄監督(現巨人軍終身名誉監督)が就任したが、今年と同じようにチーム打率、チーム得点はリーグ最下位と打線が低迷して3位に沈んだ。後に主力となる松井秀喜外野手はプロ1年目。それまでチームを支えてきた4番の原辰徳内野手(前監督)は故障もあって出場98試合で打率2割2分9厘の11本塁打に終わっている。 新外国人選手のジェシー・バーフィールド外野手も26本塁打でチーム最多の53打点をマークしたが、打率は2割1分5厘と確実性を欠いていた。規定打席到達者で最高打率は川相昌弘内野手(現一軍内野守備コーチ)の2割9分で、とにかく得点能力の低さが最大の敗因となったシーズンである。
巨人になぜ落合が必要なのか?
そしてそのオフに長嶋監督は、中日からフリーエージェントとなった落合博満内野手(前中日監督)を獲得した。この年の12月に40歳となった落合の獲得には、球団関係者やOBからの猛反発、猛反対があった。それでも当時ニッポン放送のアナウンサーだった深澤弘さん(故人)を“使者”に立てて、長嶋監督は落合の補強をまとめたのである。 なぜ落合が必要なのか? 批判的な声の中で、長嶋監督に直截的に聞いたことがあった。 答えは鮮明に覚えている。 「“風除け”が必要なんです。このチームはひ弱な選手ばかりで、逆風のときにその逆風を受け止められる選手がいない。そういう存在として、いま巨人には落合が必要なんだ。チームが苦しいときに、何かをしてくれる。ある意味、個性の強い落合の存在は、毒になるかもしれない。でもこのチームには毒も、それもかなりの劇薬が必要なんです」 プロ2年目となった松井の成長もあるが、翌年の巨人は落合という風除けを得てチーム打率もリーグ3位まで上げペナント奪回に成功する。落合獲得で、打線はどん底を脱出することができたのだった。 その後の巨人は松井さん、高橋由伸前監督、現役時代の阿部監督、と生え抜きの主力打者が“風除け”の役割を果たしてきた。打線が低迷し、何とかしなければならない場面では、彼らが逆境を切り開いてチームを引っ張ってきた。 そして直近では坂本である。 坂本もまたチームの逆風を受け止めて、何とか活路を切り開ける“風除け”となれる選手である。それが19年、20年のリーグ連覇に繋がっているのだが、ここ2、3年は故障もありフル出場もできず、本来とは程遠い打撃内容となってしまっている。今季も往年の輝きはなかなか取り戻すことができないままに、現在を迎えているのが現状である。 ならば本来なら岡本が、その役割を引き継ぐべきなのはいうまでもない。キャンプで阿部監督も、優勝のための打のキーマンとして岡本を指名。「岡本がどれだけ打点、勝利打点を挙げられるか」と語っていた。6月2日時点で10本塁打はリーグ2位。5月26日の阪神戦の9回に放った起死回生の同点ソロや30日のソフトバンク戦の逆転2ランなど、その存在感を示す打席ももちろんある。
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