電動の現代版イセッタ登場! マイクロ・マイクロリノへ試乗 全長2519mmでフロントドア
都心の流れへ問題なく交われる 最高速は90km/h
ドライバーの正面には、メーター用モニター。スピードとドライブモード、バッテリーの状態が表示される。必要な情報を確認しやすい。 内装は、基本的には高めの価格を納得させるものながら、ドアの内張りは安っぽいかも。ハンドブレーキやシフトセレクターは、少し華奢に思えた。 荷室容量は230Lもあり、小型ハッチバック並み。小さめのスーツケースなら、2個積める。運転席から振り返れば荷室へ手が届き、必要な荷物を探すこともできる。 さて、ロンドンの市街地を走ってみよう。マイクロリノの最高出力は17ps。パワーウエイトレシオは28ps/tで、速いわけではない。とはいえ、0-48km/h加速を約5秒でこなすから、周囲の流れには問題なく交われる。 加速は滑らか。アクセルペダルを蹴飛ばしても、リアタイヤが暴れることはない。信号ダッシュでは、簡単に自転車をリードできる。 スポーツ・モードでも、加速が明確に鋭くなることはなかった。最高速度は90km/hで、郊外の幹線道路もさほど苦労せずに走れる。電車のような駆動用モーターのノイズが車内へ響くが、不快なほどではない。 駆動用バッテリーの容量は10.5kWhで、実際の航続距離は150kmほど。急速充電には対応しないが、コンセントに繋いで約4時間で満充電になる。都心部での平均的な通勤には、充分耐えるはず。 小さなバッテリーを積み、航続距離93kmのマイクロリノ・ライトもある。これは車重が425kgを切り、1人乗りになるが、英国では原付免許で運転できる。
コンパクトカーへ近い操縦性 乗れば笑顔になる
操縦性は、意外にも一般的なクルマへ近い。マクファーソンストラット式のサスペンションが、路面の不整を驚くほど吸収してくれる。走行中のロードノイズも小さい。 タイヤは13インチと小径だから、石畳などは苦手。それでも、フォルクスワーゲンUp!やホンダeと、市街地での質感に大きな違いはないと感じた。 短い全長と細いタイヤ、柔らかい足まわりで、動的能力が高いわけではない。ブレーキペダルの感触は薄く、反応を予想しにくい。ステアリングホイールは軽く回せるが、ほぼ無感触。カーブを攻めると、横転しそうなほどボディが傾く。 とはいえ、小さなクルマの運転は面白い。低い速度域で充分楽しめる。 輸入代理店は、マイクロリノに競合はいないとしているが、電動マイクロカーや小型ハッチバックと比較されるだろう。筆者はアミより洗練されていて、サイレンスS04より魅力的だと思う。しかし、それらよりお値段は高い。 同等の予算で、ガソリンエンジンで走るコンパクトカーを買えてしまう。そこには5名分のシートが付くクロスオーバーや、走りの良いスポーツカーも含まれる。 反面、アイコニックな見た目は、アグレッシブなモデルが増える中で極めて好印象。実用的で楽しい小さなクルマとして、高く評価したいことも事実だ。 航続距離など忘れて、マイクロリノを運転していると笑顔になってしまう。他人のインスタグラムにポストされた写真の中でも、きっと笑っているはず。 ◯:考え抜かれたパッケージングと高い実用性 マイクロカーとして驚くほどの洗練性 多くの人を喜ばせるスタイリング △:遅い充電速度 そこまで機敏に走るわけではない お高めの価格
マイクロ・マイクロリノ(英国仕様)のスペック
英国価格:2万1170ポンド(約406万円) 全長:2519mm 全幅:1473mm 全高:1501mm 最高速度:90km/h 0-100km/h加速:-秒 航続距離:177km 電費:-km/kWh CO2排出量:- 車両重量:613kg パワートレイン:永久磁石同期モーター 駆動用バッテリー:10.5kWh 急速充電能力:2.5kW 最高出力:17ps 最大トルク:-kg-m ギアボックス:1速リダクション(後輪駆動)
フェリックス・ペイジ(執筆) 中嶋健治(翻訳)