降圧剤とセサミン、ウコンと糖尿病の薬…実はリスクが高いサプリと薬の「ヤバい飲み合わせ」
クスリとサプリの「飲み合わせリスク」
「昨日、乳がんを治療している患者さんから、『更年期障害によく効くシャタバリというサプリを友人から勧められたんですけど、飲んでもいいのでしょうか? 』と相談されました。慌てて調べてみたところ、そのサプリには女性ホルモンと同じ効果の成分が含まれているとわかったのです。 【一覧】クスリとサプリ「危ない飲み合わせ」がこんなにたくさん… 女性ホルモンのエストロゲンは乳がんのがん細胞を増殖させるため、その方にはエストロゲンの分泌を抑えるホルモン療法をやっているところです。もし私に相談せずに飲んでいたら治療が台無しになり、乳がんがさらに進行していた可能性もありました」 銀座東京クリニック院長の福田一典氏が打ち明ける。 アメリカでもっとも権威があるガイドブック『ナチュラルメディシン・データベース』は、1200種類以上の成分について医学的見地から検証し、効果のほどや適量を割り出している。 同書が重点的に調査しているのが、クスリとサプリ・健康食品の「飲み合わせリスク」だ。冒頭のように効果を打ち消し合ったりするなど、相互作用によって思わぬトラブルを招き、病院でさらなる治療が必要になるケースもあるという。
クスリの効果を弱めてしまう
とりわけ重篤なリスクが見込まれる組み合わせについて、同書は「併用してはいけない」「併用には慎重を期すか、併用しないのが望ましい」と分類している。これをもとに作成した以下の表を参照しながら、避けるべき組み合わせを紹介していこう。 健康のために飲んでいたサプリが、実はクスリの効果を弱めていたというケースはよく見られる。薬剤師で医薬情報研究所 株式会社エス・アイ・シー取締役の堀美智子氏が「気をつけるべき」と指摘するのは、葉酸とクスリの飲み合わせだ。 「代表例が抗がん剤やリウマチの治療薬として使われるメトトレキサートでしょう。これはそもそも体内の葉酸の働きを抑える医薬品なので、医師に相談せず過剰に飲むと、クスリの効果と相殺されかねません」 古くから漢方薬の材料としても使われてきた朝鮮人参には、免疫機能を高める効果が期待できる。しかし関節リウマチや潰瘍性大腸炎などの治療で免疫抑制剤を服用していると、せっかくの薬効を打ち消してしまう。 同じく多くの人が摂っているビタミン剤もまた、併用でクスリの働きを妨げてしまうサプリの一つだ。その代表例とも言えるのがビタミンC。ワーファリンなど血栓症の治療に使われる抗凝固薬や、ドキソルビシンをはじめ一部の抗がん剤の薬効を弱める懸念があるものの、患者にはほとんど知られていない。 ただし同じビタミンでも、種類が変わるとまったく逆に作用することもあるので注意が必要だろう。クスリの働きを促進するあまり、効果が強く出すぎてしまうのだ。虎ノ門中村クリニックの中村康宏氏が解説する。 「ビタミンEには血液をサラサラにする効果があるため、ワーファリンや抗血小板薬のアスピリンと一緒に飲むと薬効が強く出すぎてしまう。突然あざが生じたり鼻血が止まらなくなったりした患者さんが見られます」