マー君争奪 本命視されるヤンキースに井川のトラウマ
米国で起きているTANAKA狂想曲は、ますますヒートアップしている。米国に上陸した田中将大投手の移籍先として、ドジャースと共に本命視されているのがヤンキースだが、そのヤンキース戦の実況中継も行うニューヨークの地元テレビ「YES」は、ニューヨーク・タイムス紙、NYポスト紙のヤンキース担当記者をスタジオに招いて座談会での田中討論会を放送した。 ■“TANAKA”は井川の二の舞にならないか そこで沸騰したのが、「もし田中に巨額を使って取った場合、井川の”二の舞”にならないのかどうか」という話題だ。ヤ軍の番記者たちは、「チームは田中を高く評価して獲得を狙っているが、同時に、球団内に07年のポスティングで獲得した井川慶のように、球団史に汚名を残す大失敗となるかもしれないことを危惧している」と指摘した。 NYタイムス紙のワルドステイン記者は、「あの時、松坂に行かず、井川を入札したヤンキースは、同じ失敗だけはできない」と、力説していた。2006年に井川慶と松坂大輔が同時にポスティング申請されたが、約60億円の入札額でレッドソックスが落とした松坂は、そのルーキーイヤーに松坂は、15勝12敗の成績で、チームのワールドシリーズ制覇に貢献した。 一方、ヤンキースは、阪神で5年連続2桁勝利を挙げていた井川慶に当時のレートで入札金約30億円を払って独占交渉権を得た(契約は5年総額で約25億円)が、結果は対照的だった。 ■過去10年プロスポーツ選手ワースト1位に 井川は、ローテーションに抜擢され、開幕後、2試合目の先発で初勝利を記録したが、その後、中継ぎへの配置転換、マイナー降格などを繰り返した。メジャー球の対応に苦しみ、制球難とチェンジアップがキレず2勝3敗に終わった。翌年からもローテー復帰することはできず、3年目のシーズンを終えると、地元紙の『ニューヨーク・ポスト』が掲載した「過去10年のニューヨークのプロスポーツ選手ワースト10」において1位に選ばれる始末だった。その井川の失敗がまだ記憶に新しい。