戸松遥&内田雄馬インタビュー。『エイリアン』新作の登場人物は「観客が共感できるキャラクター」
「吹替もアニメも“私という存在”が見えてしまったらダメだと思っています」
姉弟ならではの“気をつかわない”関係性や、姉弟だからこそ身を捨ててでも相手を守ろうとする想いが日本語版の演技からもしっかりと伝わってくる。さらに本作に登場するキャラクターたちはみな、戸松の言葉を借りるなら“軍人でも戦いのプロでもない”普通の若者だ。圧倒的な恐怖に直面したときの動揺、絶望感、迷い、恐れが繊細な声の演技で見事に表現されている。 戸松は「吹替は、すでにお芝居をされている方に吹替で声を入れていくので、絶対に俳優さんのお芝居をリスペクトした上で吹替をやりたいと思っています」と語る。 「でも、日本語と英語だとブレスの位置も違うので、画面の中の俳優さんの息を吸う瞬間に“自分ではここでは息を吸わないな”と思うこともあるんです。そこをどう俳優さんの演技に私が寄り添っていけるのかが大事になります。その上、映画の後半になるとレインの感情が高まっていって、彼女は走り慣れてないから、走る場合は息が切れるぐらい全力で走るんです(笑)。だから、この映画ではレインの高まっていく感情と、ブレスの位置などのテクニカルな部分の両方を考えないといけない。難しかったですが、演じている俳優さんに寄り添っていけるように、俳優さんのお芝居に馴染む声の演技を心がけました」(戸松) 「吹替の収録は、俳優の方の演技をいかに汲み取っていくかということが大事になってきます。原音で表現されていることを丁寧に再現していくことを心がけました」(内田) 戸松も内田も繰り返し"俳優の演技を汲み取る”ことの重要さを語る。ふたりとも人気作も多く、ファンも多い声優だが、優先されるのはキャラクターだと言い切る。 「吹替もアニメも“私という存在”が見えてしまったらダメだと思っています。アニメーションの場合は決まった尺の中で自由にやれる部分もありますけど、吹替は演じられた俳優さんがいますし、オリジナルの作品が大事にしている演技や呼吸や音があるんです。それは国や言語によって違う場合もあるので、演じることで学ぶことも多いんです。だからいつも、俳優さんの演技を大事にすること、私のことはどうでもよくて、この作品であればレイン役として何ができるのか? それを一番大事に演じました」(戸松) 本作の日本語版は、ふたりの他にも石川界人、内田真礼、畠中祐、ファイルーズあいらが参加。違和感なく作品世界に入り込むことのできるクオリティに仕上がっている。 「緊張と緩和。徐々に追いこまれていくスリルとそれに立ち向かう勇気に魅了されました。エイリアンの脅威に立ち向かうレイン達の姿にぜひご注目くさだい!」(内田) 「レインはエイリアンと戦うには“完璧”じゃないんです。普通の女の子ですから。でも、エイリアンと出会ってしまったことで戦わなきゃいけない。そこで知恵を駆使して、ここを切り抜けたいという想いだけで立ち向かっていく。だからシリーズの中で一番、観客が共感できるキャラクターだと思います」(戸松) 『エイリアン:ロムルス』 9月6日(金)公開 (C)2024 20th Century Studios. All Rights Reserved.