65歳以上の無職夫婦世帯「毎月の生活費は約3万円の赤字」支出の多い項目は何?内訳をのぞき見。現役ファイナンシャルアドバイザーがシニアの「貯蓄額平均」と「年金受給額」を解説
65歳以上無職夫婦「貯蓄の平均額」は最新データで2462万円
2024年5月17日に公表された総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2023年(令和5年)平均結果-(二人以上の世帯)」によると、65歳以上無職夫婦「貯蓄の平均額」は2462万円でした。 ・貯蓄平均値:2462万円 ・貯蓄中央値:1604万円 無職になれば年金収入のみに頼るため、ある程度の貯蓄が必要になると読み取れます。 しかし、平均値は大きな数値に引き上げられる性質があります。より実態に近い中央値は「1604万円」であることから、一時期話題となった「老後2000万円問題」のクリアはややハードルが高いといえます。 貯蓄4000万円以上を有している世帯が18.8%。一方で100万円未満という世帯が7.9%という現状から、貯蓄格差もみてとれます。 これから「貯蓄の取り崩し+年金」によって生活していくことを考えると、必要な貯蓄額は「年金次第」ともいえますね。 次章では、今の65歳以上が受給する年金額を紹介します。
65歳~90歳以上「厚生年金と国民年金」はいくらか
ここからは厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」を参考に、平均的な厚生年金と国民年金の受給額を見ていきます。 ●厚生年金の平均月額(65歳~90歳以上) ・65~69歳:14万4322円 ・70~74歳:14万2779円 ・75~79歳:14万6092円 ・80~84歳:15万4860円 ・85~89歳:15万9957円 ・90歳以上:15万8753円 ※国民年金部分を含む ●国民年金の平均月額 ・60~64歳:4万3094円 ・65~69歳:5万7829円 ・70~74歳:5万7084円 ・75~79歳:5万6205円 ・80~84歳:5万6139円 ・85~89歳:5万6044円 ・90歳以上:5万1974円 厚生年金の平均月額は14万円~15万円台。自営業者や専業主婦(夫)などが加入する国民年金は5万円台となりました。 無職の夫婦がどちらの年金に加入していたかによりますが、もし夫婦ともに国民年金という場合、収入は合計で11万円程度です。 持ち家か賃貸かにもよりますが、年金だけで生活するのは難しく、大きな貯蓄が必要になるのではないでしょうか。 これに対して、会社員や公務員が加入する厚生年金は、平均的な受給額が月額約14万円となりました。共働き夫婦であれば28万円程度になり、年金だけでやりくりできる可能性が高まります。 実際にはインフレで物価高が進むことも加味しながら、慎重に老後資金を計画する必要があるでしょう。 次章では、日頃ファイナンシャルアドバイザーとして勤務する筆者が老後に向けた資産形成のポイントについて解説します。