大同特殊鋼がJFEから電気炉受注。千葉向け・年間溶解能力30万トン、ステンレス鋼製造のCO2排出削減
大同特殊鋼は15日、JFEスチールから炉体旋回式電気炉(STARQ/スターク)を受注したと発表した。同社の東日本製鉄所・千葉地区の第4製鋼工場に導入される。ステンレス鋼の製造工程でCO2排出量の削減に貢献する。 JFEスチールは同所のステンレス鋼製造で、高炉からの溶銑と自所発生スクラップ、クロム鉱石やクロム含有ダストを主な原料とした製鋼プロセスを採用している。ただ製鋼プロセスでのCO2排出量削減にはさらなる鉄スクラップの利用量拡大が有効との判断から約150億円をかけて鉄スクラップ溶解用の電気炉を導入する。 大同特殊鋼が開発したSTARQ(スターク)は、炉体を旋回させることで鉄スクラップなど原料の効率的な溶解を行う炉体旋回式電気炉。2013年に第1号機を同社知多工場(愛知県東海市)に導入して、高いCO2排出量削減性能を実証している。20年12月には、日本経済団体連合会が日本政府と連携して脱炭素社会の実現を目指す企業・団体のアクション発信「チャレンジ・ゼロ」にSTARQを登録した。 今回受注した電気炉は1チャージ70トンの炉容量で年間溶解能力は約30万トン。25年度下期に稼働予定で、鉄スクラップの溶解能力を現行比で6倍に増やし、年間最大約45万トンのCO2排出量削減を見込む。 STARQの外販は千代田鋼鉄工業(綾瀬工場)、日本冶金工業(川崎製造所)に次いで3基目となる。大同特殊鋼では、同社機械事業部が販売する工業炉製品で、省エネ性能を高めてCO2排出量削減に貢献する技術・製品開発に取り組んでいる。社会のカーボンニュートラル実現に向けて省エネ性能やCO2排出量削減性能を持つ工業炉製品を拡販。2030年度には事業部単体売上高で22年度比約3倍の300億円を目標にしている。