MUFG傘下銀行と証券2社、監視委が行政処分の勧告検討-関係者
(ブルームバーグ): 証券取引等監視委員会は、三菱UFJフィナンシャル・グループ傘下の銀行と証券会社2社に対する行政処分を金融庁に勧告する検討に入った。同意を得ずに銀行と証券会社の間で顧客情報を共有するなど金融商品取引法に違反する行為があった。複数の関係者が匿名を条件に明らかにした。
関係者によると、勧告の対象は三菱UFJ銀行と三菱UFJモルガン・スタンレー証券、モルガン・スタンレーMUFG証券。監視委では、銀行と証券2社は顧客企業のM&A(合併・買収)に関する非公開情報などを顧客の同意を得ないまま共有していたとみている。
ほかにも上場REIT(不動産投資信託)を運用する投資法人との取引で、三菱UFJ銀が融資交渉に加え、グループとして採算性を高める観点から証券会社の引き受け業務の交渉を行うなどの法令違反があったようだ。
監視委の勧告検討については、日本経済新聞が7日未明に報じていた。勧告があれば、金融庁は6月中にも業務改善命令などの行政処分を検討するとしている。
金商法には顧客が不利益を被らないようにするため、顧客の同意のないまま銀行と証券間の情報共有を禁じるファイアウオール(FW)規制があるほか、銀行が一部を除く証券業務を手掛けることなどを禁じている。MUFGの株価は7日の取引で一時前日比2.8%安の1605円まで下落した。
FW規制違反では2022年に、SMBC日興証券を巡る相場操縦事件で、同事件とは別に三井住友銀行と同証券の間で顧客情報を共有していた案件が複数見つかり、金融庁が持ち株会社の三井住友フィナンシャルグループと同銀などに行政処分を発出した例がある。
三菱モルガンの広報担当者は、現時点では勧告を受けた事実はないとコメント。モルガンMUFG証は「当社としては発表したものではない」との声明を出した。三菱UFJ銀の担当者は答えることはないとしている。
鈴木俊一金融相は7日の閣議後会見で、「個別の検査や勧告についてはコメントを控える」とした上で、「今後、監視委でしっかりと対応され、いずれ発表があると思う」と述べた。