愛媛の小学生ユーチューバー・りおなちゃんの素顔 「ちいりおちゃんねる」と笑顔に秘めた思い 後編
車いす生活を送る7歳の人気ユーチューバーりおなちゃん。愛媛から発信するユーモアたっぷりの動画は、大きな反響を呼んでいる。とりわけ家事をしないパパへのお説教動画は、面白くもほほ笑ましいと評判になり、チャンネル登録者数は158万人に上る。 2年前に受けた側彎(そくわん)症の手術がきっかけで下半身まひになったが、多くのフォロワーから激励や応援を受け、足を治したいと奮闘する日々が続いている。 退院後は、ほぼ毎日県外の病院やリハビリセンターに通い「立つ」や「足を踏み出す」といった練習を繰り返した。 7歳になった現在も自宅でリハビリを続け、週末も病院に通う。 気持ちは「もう歩けない」から「絶対歩く」へと変化した。それは行動にも表れ、リハビリでは一度も弱音を吐いたことがないという。佳寿美さんは「嫌がったことがないというか、むしろ鬼気迫る勢いでリハビリに臨んでいるんです」と語る。 そんな矢先、また試練が襲いかかった。 今年の7月下旬、りおなちゃんは背中の痛みで起き上がれなくなった。母親の佳寿美さんによると、曲がった背骨を矯正するため、2年前に手術で入れた金属が折れてしまっていた。 りおなちゃんは気道に狭窄(きょうさく)があるため、全身麻酔での手術には命の危険が伴う。大きな不安と恐怖を抱えながらも、8月上旬には手術に臨み、無事成功。術後は奇跡的な回復を遂げ、2週間ほどで退院することができた。 佳寿美さんは「手術前にどうしようもなく落ち込んだ時も、たくさんの応援のおかげで何とか心を保てた部分が大きいです。また『こんなに待ってくれている人がいる』という事実も娘の励みになっていたと思います」と安堵(あんど)する。 ■アンチ負の側面 パワーの源でもあるSNSでの活動。「ただ」と、佳寿美さんは言う。「病気がなければ、子どもをSNSに出すことは絶対になかった」。意識しているのは、闘病記録のようにしないこと。家族と冗談を言い合ったり、笑ったり泣いたり「何げない日常風景をみてもらいたい」と、自然体のりおなちゃんを撮影している。 とはいえ、有名になるほど、誹謗(ひぼう)中傷などの「アンチ」も増えた。「発信するからには、アンチも受け止める義務があると思っていたんです。当初は否定的なコメントにも全て返信し、削除せずに残していたんですが、少し疲れてしまって…」。佳寿美さんは率直に明かす。中には「子どもでお金を稼ぐな」といった過激な書き込みも。家族や応援してくれる人の励ましもあり「ようやく最近、そこまで反対意見に寄り添う必要はないと思えるようになりました」。迷いつつも、毅然(きぜん)とした姿勢でSNSへの投稿を続けてきた。それが、りおなちゃんの支えになっていたからだ。
愛媛新聞社