<サッカー日本代表>オランダ戦 ザックジャパンの浮上のカギは?
今年に入って5勝1分8敗(東アジアカップを除く)と大きく負け越し、先月の東欧遠征ではW杯予選敗退のセルビアとベラルーシに2連敗したザックジャパンにとって、このタイミングで迎える列強との2連戦が大きな試練なのは間違いない。 ■いかにボールを奪うかが焦点 だが、ピンチはチャンスの裏返し。オランダ、ベルギーとの強化マッチは、原点回帰するためのターニングポイントになる可能性を秘めている。焦点は、いかにボールを奪うか、である。ザッケローニ監督はこれまで自らのスタイルを「攻撃的だ」と称してきたが、実はその肝は、ディフェンス面にある。 「攻守は表裏一体」とよく言われるが、指揮官が3トップを好むのは、攻撃に人数を掛けるためだけでなく、相手の最終ラインにプレッシャーを掛け、できる限り高い位置でボールを奪うためでもある。また、サイドに人数を割くのも、そこでボールを奪い取り、人数を掛けて一気に攻め込む狙いがある。ベタ引きして守ることを嫌い、最終ラインを高くし、全体をコンパクトに保って自陣ゴールから離れて守り、攻撃を仕掛けていく。 ■今年に入り苦しいチーム状態だった 良い攻撃は良い守備から――。そこに、ザッケローニ監督が「攻撃的なスタイル」を自認する理由がある。元来は、ボールを奪ったらシンプルに素早く仕掛けることを奨励する指揮官である。それが効率的かつ効果的に得点を奪えるからだ。 とはいえ、「日本にはパスを繋いでコンビネーションでゴールを目指す文化がある」(ザッケローニ監督)ということも理解している。そのため練習では「手数を掛けるな。横パスを少なくしろ」と注意する一方で、やり過ぎない限り、試合では「ポゼッションサッカー」を容認してきた。つまり、ショートカウンターとポゼッションの使い分けに、ザックジャパンの強みはあった。ところが、今年に入って信頼を置くレギュラーの誰かが常に疲労や負傷を抱えていたり、試合勘を失ったりしていたため、チームはベストから程遠い状態だった。