「普通の負け方ではない」...屈辱的大敗後の楽天ベンチ裏での「本音」
「お通夜のようだった試合後」
若鷹ににらまれた犬鷲はなすすべもなかった。5月21日の0対21という屈辱的惨敗の翌日も2回までに9点を奪われて0対12の大敗。ソフトバンクの前に羽をもがれた楽天の今江敏晃監督も「普通の負け方ではない」と話し、試合後に緊急ミーティングを開いたが、選手は自信を喪失し、こんなときこそ存在を誇示しなければいけないベテラン・田中将大も頼りにできないのが現実だという。 【写真】大谷翔平を支える、妻・真美子さんの「素顔」! 「球団創設1年目は開幕2戦目に0対26で敗れ、翌日は1対6。このときの2試合32失点という球団ワースト記録を、この2連戦で更新してしまった。試合後の選手たちも黙ってうつむくだけ。10連敗でもしたのかといった感じで、本当にお通夜のような雰囲気でした」 楽天担当記者が振り返るように、選手も大きなショックを受けたソフトバンクとの2連戦。どちらも投手陣が序盤に大量失点し、打線もいいところなく無得点。 試合を伝える報道の中でコメントが紹介された選手は両試合でそれぞれ先発登板したポンセと荘司康誠くらいで、ほかの選手は取材に対して沈黙を貫いたのかと思いきや、そうではなかったという。 「取材を拒否する選手がいたとかではなく、メディアの方も聞きたいことがなかったようです。それくらい内容の乏しい2試合でした。今江監督も悔しさを押し殺して冷静に受け答えをしていましたが、『今まで粘り強く戦ってきたことがなくなってしまわないように』と危惧も口にしていた。 今江監督は人間力が高いので選手からの求心力が落ちているということもありませんし、問題になるような選手もいないのでチームがゴタゴタしているとかもないのですが」 球団関係者はそうコボしながら、次のような本音も漏らす。
マー君はいつ投げられるのか
「でも、こんなことを言うのは情けないですが、このカードが2試合だったのがせめてもの救いです。3戦目があったらどうなっていたか。交流戦が始まるので、しばらくソフトバンクとやらずに済むのもよかったと思ってしまいます」 そんな泣きの言葉からはダメージの大きさが改めて感じ取れる。24日の日ハム戦では9回裏に2点を奪い返す粘りを見せるも、延長10回表にエラーで勝ち越し点を許して連敗は5に伸びてしまった。 「二死3塁からのショートゴロを、この回から守備に就いた伊藤裕季也がファーストに悪送球してしまったのですが、腕が振れていなかった。普通ではない負けの後で、絶対にミスできないと過度なプレッシャーがかかってしまったんでしょう」(前出・楽天担当記者) 先発ローテ陣が不安定なまま迎える交流戦の展望も不安を拭えない。 「24日の日ハム戦で初めて失点したとはいえ、抑えに回って14試合連続無失点だった則本昂大らブルペン陣は頑張っているのですが、先発は岸孝之と早川隆久がまずまずといった程度。交流戦が始まると6連戦が続くので先発は6枚必要になる。古謝樹が上がってきて25日に先発予定ですが、ほかに2軍から引き上げたくなるような若手も見当たらない。 それに、首脳陣の1人が『ピッチャーが足りない。チームが沈んでいる、こんなときこそ本当はベテランの力を借りたいんだが』と歯がゆく感じている、2軍でマイベース調整を続ける田中も交流戦での登板は見込めません」(同前) 次回記事「「日米通算200勝」に黄色信号...「自信喪失」の楽天・田中将大の窮状」では、2軍戦でも登板から遠ざかる田中の心情や、パフォーマンスが上がらない原因に迫る。
週刊現代(講談社)