米不足、新米初出荷でどう変わる? 福井産ハナエチゼン販売開始、スーパー「高くせざる得ない」
JA福井県は8月21日、2024年産福井米を初出荷した。ハナエチゼンの新米約110トンが県内外の卸業者に搬送され、県内全域の多くのスーパーで販売を始めた。昨夏の猛暑による23年産米の収量減が影響して県内でも一部スーパーなどで見られたコメの欠品状態は、解消に向かう見通しとなった。 初出荷の式典が敦賀市中のJA県経済連の施設で開かれ、関係者約30人が新米を積んだトラックを見送った。JA福井県によるとハナエチゼンの収穫量や品質は平年並み。 23年米は昨夏の猛暑により収穫量が減少した影響などで現在、全国的にコメが品薄になったり価格が高騰したりしている。農林水産省によると6月末時点の主食用米の民間在庫量(速報値)は前年から約2割減の156万トンで、1999年以降で過去最少となった。 福井県内でもコメの品薄状態がみられ、米卸売りの福井精米(福井市森行町)の樋田光生社長は「4月ごろから関西や東海などの消費地で品薄となり、福井などにコメを求めて業者が買いに来るようになった」と話す。県内スーパーは7月ごろから品薄状態が見られるようになり、一部スーパーでは欠品となった。今月8日に気象庁が初めて出した南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)を受け、関西の親戚などへコメを送る動きがあったことも拍車を掛けたという。 各スーパーによると、24年産ハナエチゼンの出荷に伴い、欠品状態は解消される見通し。ただ価格については、これまでの相場高騰を受け同JAが内金(前払い金、60キロ当たり)を前年当初比4800円増の1万6千円に設定するなどしており、高値状態が続くとみられる。入荷早々、10キロと5キロのハナエチゼン50袋ずつを並べた福井市のAコープやしろ店では、10キロ4980円、5キロ2580円(ともに税抜き)で販売。山上剛副店長は「10キロは例年だと3千円台。仕入れ値が上がっており、今年は高くせざるを得ない」と話す。 スーパー各社によると9月にはコシヒカリやブランド米「いちほまれ」の新米入荷も予定しており安定供給ができるとし、過度な買い占めは控えるよう呼びかけている。 24年産米のJA福井県のハナエチゼン出荷契約数量は1万1927トン。
福井新聞社