誰もがデータサイエンティストに!? データ分析の道しるべ「スキルチェックリスト」の活用法
近年は経済産業省やIPA(独立行政法人 情報処理推進機構)と、ITスキル標準(IT人材に求められるスキルやキャリアを示した指標)について対話しながら、産業界が必要としているデータサイエンティスト像を明確にして、国に示してきました。結果として、国のAI戦略が策定されるなど、この10年で国としての取り組みがはっきり示されてきました。
スキルチェックリストの使い方
――「スキルチェックリスト ver.5」について教えてください。 佐伯: データサイエンティストに必要とされるスキルをまとめたチェックリストの第5版です。2021年に第4版として公開したデータサイエンティストの「ミッション、スキルセット、定義、スキルレベル」および「スキルチェックリスト」を、現在のビジネス環境や実態に合わせて全面的に見直しました。以下からダウンロード可能です。 ・スキルチェックリスト ver.5 ・スキルチェックリスト新旧比較版
データサイエンスがビジネスに役立つには、「ビジネス力」「データサイエンス力」「データエンジニアリング力」の3つのスキルセットが必要です。各スキルをそれぞれ「★」から「★★★+」までの「★値」で表し、合計で600を超える項目があります。
スキルレベルは、「シニア」「フル」「アソシエート」「アシスタント」の4つに分類しています。企業からは、「棟梁レベル(フル・データサイエンティスト)が足りない」という話がよく聞かれます。
――スキルチェックリストは、どのように活用されているのでしょうか? 佐伯: 以下のような使い方を想定しています。 個人としての使い方 データサイエンティスト協会では、データサイエンティストの実務能力と知識を有することを証明する試験である「データサイエンティスト検定™」を実施しています。リストを見れば、今、自分に何が足りていないか、何を身につけるべきかが分かります。 企業としての使い方 自社のデータサイエンスに必要な項目やレベルを選んで、自社の事業に合わせるという使い方をされています。また、スキルチェックリストと同時にタスクリストもIPAと協働して発表していますが、こちらはデータ分析プロジェクトの一連の流れが書いてありますので、自社の業務に当てはめたり、必要な箇所にドメイン知識を入れ込んだりするなどのアレンジをしています。 教育機関での使い方 データサイエンスを学べる学部・学科が多くの大学で開設されています。そのシラバス(授業計画)策定にこのチェックリストやスキルセットが参考にされているようです。グローバルでも同じようなリストが公表されているので、それと比較しながら、具体的な学習時間などを決めることができます。