【60代の平均貯蓄額】60歳ですが貯蓄額は「100万円以下」です…ほかの60代はどれくらい貯蓄していますか?
「老後資金2000万円問題」が話題となるなか、年金だけでは老後の生活をまかなえないと示唆されています。60歳で定年を迎え、年金の受給ができる65歳を目前にして、老後資金が足りるのかと、不安な方もいらっしゃるのではないでしょうか。 そこで今回は、60代の平均貯蓄額や、老後にかかる出費について解説します。 ▼年金が「月10万円」で老後が不安…持ち家で「貯金」と「退職金」があれば大丈夫? 生活費を試算
60代の平均貯蓄額
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査(令和4年)」によると、60代の貯蓄額(金融資産保有額)は、表1の通りです。 表1
※金融資産を保有していない世帯を含む ※金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯/二人以上世帯調査](令和4年)」を基に筆者作成 計画的に貯蓄している世帯では、約1300万~1800万円以上のお金をためていることが分かります。 貯蓄額が100万円未満の割合(60代)を見てみると、単身世帯で8.0%、二人以上世帯で6.1%とのことです。さらに、貯蓄をしていない金融資産非保有世帯の割合は、単身世帯で28.5%、二人以上世帯で20.8%と、100万円以下の割合と合計すると、全体の約3~4割にも及びます。
老後に想定されるまとまった出費
定年退職後は、再雇用や再就職で働いたとしても、現役世代に比べると、収入が減ってしまう可能性があります。そのため、生活費はもちろん、大きな出費は貯蓄でまかなわなければなりません。ここでは、老後の生活で想定される出費をご紹介します。 ■医療費 年齢を重ねると、病気やけがのリスクが高まり、医療費の負担が増える可能性があります。医療費の自己負担割合は、69歳までが3割、70歳から74歳までが原則2割、75歳以降は原則1割です。 年齢とともに医療費の自己負担割合は減りますが、年齢が上がるにつれて医療機関などを利用する機会が増えます。実際に、厚生労働省の「令和3年度 国民医療費の概況」によると、人口一人あたりの医療費は、65歳未満が19万8600円であるのに対して、65歳以上は75万4000円とのことです。 診察1回あたりに支払う金額は少なくても、継続的に通院が必要とか、入院が必要になったなどの際には、医療費が高額になる可能性もあるでしょう。 ■介護費 もしも老後に介護が必要になった場合には、医療費とは別に介護費がかかるケースもあります。 また、公益財団法人生命保険文化センターの「2021年度 生命保険に関する全国実態調査」によると、月々にかかる介護費用の平均は8万3000円であり、住宅改造や介護用ベッドの購入などに一時的にかかった費用は、平均74万円とのことです。 要介護度が高くなるほど費用負担が多くなり、要介護度別の割合では「要介護5」の平均介護費用は、一時的な費用で107万円、月々の支払いは10万6000円にもなります。 ■そのほかの費用 子どもが大きくなり、結婚や出産などのうれしい知らせも増えるでしょう。その際には、ご祝儀やお祝い金などの費用も必要となります。さらに孫ができると、出費が増える傾向にあります。 ソニー生命保険株式会社の「シニアの生活意識調査2023」によると、1年間で孫のために使った金額は、平均10万8134円とのことです。孫の成長とともに、お年玉や入学祝いなど、多くの出費が考えられるでしょう。