3回目の首相会見 江川紹子さんが質問「イベント自粛の損失補償は?」
新型コロナウイルスが感染拡大して以降、3回目となった28日の安倍晋三首相の記者会見。過去の会見では、質疑で官邸記者クラブ所属の記者ばかり指名され、それ以外のフリーランスの記者たちの質問を受けずに会見を終了させたことが批判を集めた。この日の会見では、その発端となる声を上げたフリージャーナリストの江川紹子さんらが指名される場面があった。 【全編】安倍首相が記者会見 新型コロナ対応や追加の経済対策説明
税金で損失を補填するのは難しい
安倍首相が一転して全国的な大規模イベントの自粛や全国の学校の一斉休校を相次いで要請した直後の2月29日に行われた首相会見で、江川さんは「まだ質問があります」と手を挙げ続けたが、予定時間の超過を理由に会見は約36分で終了した。これをきっかけに記者クラブ制度を含めた首相会見のあり方に批判が集まった。 前回3月14日の会見では、記者が一斉に大きな声で挙手するシーンが見られたが、この日はあらかじめ司会から「質問の意思表示は声ではなく挙手で」とアナウンスがなされた。江川さんは前回は参加できなかったが、この日の会見には姿を見せ、記者クラブ加盟社の質問の後で6番目に指名された。 江川さんは、これまで首相からさまざまな自粛要請があったが、それに伴う損失への助成や補償の話がほとんどなかったと指摘。「文化・芸術は水道の水とは違い、1回絞るとなかなか出てこないともいわれる」と訴えながら、K1イベントが強行された例を挙げ、補償・助成とセットで要請を行う方針を示せないかとただした。 それに対して安倍首相は、そういった問題意識は政府内でも当初から議論してきたと説明。実際に要請に応じてイベントを中止し、収入がマイナスになった人からも話を聞いたとした。こうしたイベントの重要性については「文化・芸術・スポーツは大変重要。この火が消えてしまって、もう一度復活させるのは大変だということは承知している」と理解こそ示したものの、「損失を補填する形で税金でそれを補償することはなかなか難しい。そうではない補償の仕方を考えている」と回答。 キャッシュフロー面で困難を抱える人には、無利子・無担保で5年間据え置きの融資もあるとしたが、「借りても大変との話も聞いている。そういう方々への給付金も考えている」と追加の経済対策に盛り込む現金給付制度の対象とすることも検討するとした。