子どもが3人いても「大学無償化」の対象にならない!? なぜ「こども未来戦略方針」は批判されている? その背景について解説
2023年12月22日政府は「こども未来戦略」を閣議決定しました。この政策は、若年人口が急激に減少する2030年代に入る前に少子化が進む状況を転換させることを目指し、特に若者子育て世代の所得向上に焦点を当てています。 「こども未来戦略」では、具体的な施策として出産などにかかる経済的負担の軽減や児童手当拡充などが挙げられており、高等教育費の負担軽減の対象拡大も計画されています。しかし、この大学の授業料支援には不公平という声が多く上がっています。なぜ今回の大学無償化が批判されているのかを調査してみました。
不人気の理由は多子世帯が対象となる不公平感
今回の大学無償化に関する施策の中心は2025年度からの措置となりますが、実は現在も授業料免除などの支援は存在しています。(図表1) 図表1 大学等授業料・入学金の無償化
内閣府官房 こども未来戦略における主な施策等について 現行の制度では、国公立大学では約54万円、私立大学で約70万円(入学金は国公立約28万円、私立約26万円)を上限として授業料の支援が行われています。これが世帯収入によって全額支援、2/3支援、1/3支援など割合が変わります。 今回の閣議決定で発表されている支援では、所得制限が撤廃されていますが、その条件は多子世帯、具体的には扶養される子どもが3人以上の世帯が対象となっています。多子世帯でなくても今までと比較して損をするわけではありませんが、「あの家庭の子どもは全額支援対象になるのに、うちの子は対象にならない」という事象が発生することになります。 また、扶養される子どもが3人以上の世帯が対象となるため、第3子の大学入学時に第1子がすでに就職して扶養から外れている場合、第3子は対象となりません。子どもが3人いるから全員、大学授業料が免除されるわけではないということに注意しなくてはなりません。 そんなに短い期間で家族を増やすなんて経済的にできないと考える人が多いことでしょう。対象となる基準を満たすことが難しいという点が、この制度が批判されている大きな理由のようです。