“パック開封”に25年前の記憶が蘇る…初心者トレーナーが『ポケポケ』やってみた
「ポケモンカード」(以下、ポケカ)をスマホで気軽に遊べるスマホゲーム『Pokémon Trading Card Game Pocket』(以下、ポケポケ)が、10月30日にサービス開始となった。2024年10月26日~11月1日のApp Store売上ランキングで1位を獲得するなど、早くも多くのユーザーを虜にしている。 【画像】待望の『ポケモンカードゲーム』デジタル化作品『ポケポケ』のアナログな魅力 (参考:リリース直後に首位獲得した大型タイトル『ポケポケ』、日本以外でも広く人気 24年10月26日~11月1日のApp Store売上ランキング振り返りhttps://gamebiz.jp/news/395247) ポケカは歴史が長く、“ガチ勢”が多そうなイメージだ。「興味はあるが、精神的な参入障壁は高い」という人も多いだろう。一応、筆者もポケカを嗜んでいたが、それは25年前のお話。かなりブランクがあり、もはやただの初心者と言っていい。 そんな新米トレーナーの筆者ではあるが、「ポケカを久しぶりにしたい」という一心で、先輩トレーナーの“経験値稼ぎ”のサンドバックになることを覚悟し、『ポケポケ』の世界に飛び込んでみた。だが意外にも、自分が思っていた以上に、意外とどうにかなっている。今回は、ポケカ初心者でもポケポケを安心安全に楽しめている要因を語っていきたい。 まず、ルールがシンプルになっていることがなにより大きい。というのも、実物版のデッキは60枚、同じカードは4枚まで入れられるが、『ポケポケ』のデッキは20枚。同じカードは2枚までと小規模になっており、初心者にはかなりとっつきやすい。 “エネルギーカード”という概念がないことも助かる。ポケカはデッキから引いたエネルギーカードをポケモンにつけて技を出し、相手のポケモンを倒していくのが基本ルール。タイミング良くエネルギーカードを引けるかどうかも醍醐味ではあるが、『ポケポケ』にエネルギーカードは存在しない。代わりに「エネルギーゾーン」という要素が設けられ、エネルギーを毎ターン1回供給できるようになった。 ポケカにはエネルギーカードをサーチするカードもあり、そういったカードを活用してエネルギーカード管理を効率的に進めることも、やり込み要素のひとつだ。裏を返せば、エネルギーカードがないことで『ポケポケ』はゲームがシンプルになり、カードゲームに明るくない人でも気軽に遊べる仕様になっていた。わかりやすさが追及されていたことが、今日の人気につながっているように思う。 ちなみに、実物版ではいまも昔も、基本的にエネルギーカードはスターターパックや構築済みデッキなどを購入しないと手に入らない(※)。そのことを知らなかった25年前の筆者は、拡張パックをいくつも購入するも、一向にエネルギーカードが手に入らず、デッキを組めずに苦悩した過去を持つ。そんなかつての健気で“情弱”だった自分を思い出し、エネルギーカードがなくても対戦できている現在に時代の流れを感じた。 (※)ポケモンカードゲーム トレーナーズウェブサイト:https://www.pokemon-card.com/products/index.html?productType=construction カードゲームにはよくあることだが、SNSとの親和性の高さも、楽しくプレイできている要因である。 『ポケポケ』にもやはり課金要素はあり、課金して強いカードを揃えたデッキには太刀打ちできないという面もある。初手で「フリーザーEX」を出され、トレーナーカード「カスミ」を使われて3枚エネルギーをつけられると文字どおり手も足も出ない。 このように課金している人が強くなる構図はあるが、SNSではそういったデッキに対抗するためのデッキレシピを公開している人が多い。デッキ枚数も20枚のため、無課金でも集めることは容易だ。なかにはレアリティが低く、集めやすいカードで組んでいながら強いデッキレシピを紹介する人もいる。 課金している人と10戦やれば当然負け越すが、一発勝負であればパワーカード不在のデッキでも善戦できるところが面白い。勝てるデッキの情報を手軽にゲットできるところも、初心者からすればありがたいところだ。 またSNSで言えば、レア度の高いパックの選び方も出回っている。いわゆる“サーチ”だ。実際にSNSで「いいね」を集めていたサーチ法を数回試したが、ほぼほぼレアカードはなし。そんなウワサ話に心躍りながらパックを選ぶこともどこか懐かしさを感じる。パックを開封するときの振動や指でなぞる感覚など、さらにワクワクさせてくれる演出も見事だ。 ほかにも、バトルだけではなく“コレクション”という観点でも楽しむことができる。大前提としてポケモンはかわいい。そんなポケモンを対戦のためではなく、愛でるために集めたくなる。ポケポケではポケモンカードの世界に飛び込んだ気持ちになれるイラストが描かれた 「イマーシブカード」というものがあり、ポケモンの日常を覗き見するような感覚に浸れる。強さだけを競うのではなく、コレクションを楽しみたい人にも配慮された設計だ。 遊びどころが多く、ガチ勢からライト層まで広く楽しめるデザインができている『ポケポケ』。筆者同様に「ガチ勢にボコボコにされるのは怖いけど 、『ポケポケ』をやりたい」と考える人は一定数いると思うが、現状はランクマッチ等の緊張感あるバトルも少ないため、安心してポケポケの世界に飛び込んでほしい。
望月悠木