日本の先生はよく働くが大きな目標がない…インド出身の公募校長が「茨城の公立中高一貫校」で始めた学校改革
自分がいないと達成できないような変革では長続きはしません。私がいなくなっても制度、システムとして残り、長く継続されるものを創ろうとしています。さらに、自分の学校だけの変革に終わらせたくはなく、他のすべての進学校やその他の学校にもまねできるものを目指しています。 ■生徒の恋愛相談で距離を縮める 私と生徒との関わり方についてもお話ししましょう。 生徒から私に「好きな娘ができたが、どうしたらいいのか」と質問を受けたことがあります。そこで、生徒の質問に校内放送で校長が答えるという企画をやりました。 そこでは、「好きと思ったらまず言ってみる。言わないとなにも始まらない」「ただし、気持ちを伝える表現や方法は工夫する」「口頭で伝えるか手紙で伝えるかなどもよく考える」と聞き返しました。 それを聞いていた先生が驚いて「校長先生はいったい何をしているのですか」と慌てて飛び込んできました。私は「先生は若い頃に恋愛をしたことがないのですか」と答えました(笑)。 ■教育を通じて地域活性化を目指す 日本は少子高齢化が進んでいます。少子高齢化を止めるためには、日本の経済や教育の構造を変えて、大都市集中型から地方分散型にする必要があると思います。ところが、日本では教育の制度や中身もあまり変化しておらず、時代の変化に遅れているように感じています。 地方にも最先端のIT教育ができる学校を作るなど、さまざまな教育の機会をつくり、地方で優秀かつ即戦力のある人材を育て、地域の産業、企業と連携して、地元の優秀な人材が外に出て行くのではなく、地元に残って活躍する仕組みが必要だと考えています。 一つの策として、地元の企業が高校の段階で優秀な生徒に大学卒業後の採用を(条件付きで)確約し、可能であれば大学の学費を一部負担したり、大学の長期休暇中にインターンとして受け入れたりするといいと思います。 ---------- プラニク・ヨゲンドラ(Puranik Yogendra) 茨城県立土浦第一高校・付属中学校長 1977年、インド・ムンバイ生まれ。インド・プネ大学で学士号と修士号を取得。2010年にみずほ銀行入行、2019年には楽天銀行に入行するも、同年4月の東京都江戸川区議選に出馬し初当選。2021年東京都議選では落選。茨城県の民間人校長公募に応募し、22年4月より同校副校長、23年より現職。 ---------- ---------- 西川 裕治(にしかわ・ゆうじ) 科学技術国際交流センター(JISTEC)上席調査研究員 1951年生まれ。広島大学工学部卒業し、76年日商岩井(現・双日)入社。20年間海外営業を担当し、インドネシア、スリランカに駐在。広報室、人事総務部、日本貿易会出向を経て、12年より日本在外企業協会『月刊グローバル経営』編集長。15~18年 科学技術振興機構(JST)インド代表を経て、22年より現職。23年よりJSTアドバイザ。世界の優秀な若手人材を日本に招聘するJSTの「さくらサイエンスプログラム」の推進に携わる。 ----------
科学技術国際交流センター(JISTEC)上席調査研究員 西川 裕治